水戸黄門 天下の副編集長 月村了衛著
大爆笑誘う原稿督促の旅
時代物のパロディ、ここに極まれり、といった大爆笑の一巻である。
遅々として進まぬ『国史』(『大日本史』)の編纂(へんさん)に業を煮やした水戸光圀は、覚さん、介さん、さらには机(デスク)のお吟と呼ばれる鬼編修者とともに、原稿督促の旅に出る。
正に天下の副将軍ならぬ天下の副編集長というわけだ。
ところが行く先々で、執筆者を缶詰めにしたり、『国史』をパクって正史を捏造(ねつぞう)したりする剣呑(けんのん)な連中が登場。光圀側も負けてはいない。危機一髪の時に現れる謎の風車の使い手は誰?
が、それだけではない。笑いの中にも本書の真のテーマは、ラストの覚さんの独白の中にある。実に微笑(ほほえ)ましい一巻といえよう。
★★★★★
(文芸評論家 縄田一男)
[日本経済新聞夕刊2016年8月25日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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