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病理診断取り違え防げ 誤摘出事故受け学会が指針

人員不足、遠隔支援も視野

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NIKKEI STYLE

千葉県がんセンター(千葉市)で昨年12月、別の患者の検体と取り違えて乳がん患者の乳房を誤って全摘出した事故では、検体を取り扱う病理部門の脆弱な体制が浮かび上がった。「人ごとではない」。病理医の不足に悩む病院は多く、危機感は強い。学会は初めて取り違え防止のためのマニュアルを作成。大学病院が他の病院の支援に乗り出すなど、改善を模索する。

千葉大病院(千葉市)の病理部の一室。内視鏡や手術で患者から採取した組織の一部が入った小瓶が並ぶ。それぞれに貼られたラベルには、患者の氏名などが手書きされている。顕微鏡による病気診断のため検体を処理して作製する「病理標本」でも、臨床検査技師による手作業が多い。

診断件数は増加

病理診断は地道でマンパワーが必要だが、同病院の病理医はここ数年で5人ほど減った。病理部長の中谷行雄教授は「経営が厳しい中では増員はなかなか難しい」と顔を曇らせる。

そうした中で千葉県がんセンターでの検体取り違えの事故が起き、経営側とは増員を交渉中だ。「大学病院に求められる『高水準の医療の提供』のためにも、現状には危機感を持っている」(中谷教授)

同センターは昨年10月に30代の女性患者の乳房に針を刺して組織を採取し、がん細胞を調べた。同じ日の検査で別の50代の患者を乳がんと診断。この検査結果と取り違えて12月、30代患者の右乳房を全摘出した。

同センターの事故調査委員会は検体を採取後、専用容器に入れるまでの過程で起きた可能性が高いとする報告書を公表。問題が起きた背景として、がん患者の増加などで2014年の病理診断件数が05年比で2倍以上に増えたにもかかわらず、人員不足が放置されてきたことを問題視した。

厚生労働省の調査によれば、同じ期間にがんを中心とした病理診断は全国で約8割増えた。「全国の病理部門に共通した問題」。事故調査委はこう指摘した。

日本病理学会の深山正久理事長は「学会も責任を持って取り組まねばならない」と話す。7月に「病理検体取り扱いマニュアル」を公表。取り違え防止に向け▽ラベルには患者名をフルネームで記入、IDも加えるなど2つ以上の情報を記入する▽検体が検査室に送られてきたらその場で搬送者とともに1検体ずつ確認する▽患者が異なる複数の検体を同時に扱わない――よう求めた。

若手育成も課題

人材不足の解消は容易ではない。「専門医は少なくとも3000人必要だが、現状は2300人にとどまる」(深山理事長)。昨年5月時点の分析では、年齢別で専門医が最も多いのは50~54歳。特に若手が足りず、地道な育成が課題だ。

そうした中でいかに診断体制を強化するか。情報通信技術(ICT)に活路を求める動きが出ている。

7月下旬、長崎大病院(長崎市)の福岡順也教授は大腸がんが疑われる患者の組織の画像をパソコンで眺めていた。「腸結核の可能性もあるな」。無料インターネット通話「スカイプ」を使って、画像を送ってきた兵庫県立淡路医療センター(兵庫県洲本市)の若手病理医に助言した。

こうした病理診断の遠隔支援は「デジタルパソロジー」と呼ばれる。福岡教授は教え子がいる同センターへの支援を昨年1月に開始。今年6月には、五島中央病院(長崎県五島市)など病理医不足に悩む地元にも支援を広げた。

期待される効果はこれにとどまらない。診断に使う標本はサーバーに保存するため、患者を担当した女性病理医が産休・育児休業中でも、自宅にいながら診断を巡る会議に参加できるようになった。現場とのつながりを保ち、休業後に復帰しやすくなったという。

病理医が他病院の症例にも携われば、幅広く経験を積むこともできる。福岡教授は「若手の関心が高まり、人材が集まりやすくなるのではないか」と期待する。同様の取り組みは東京大病院(東京・文京)などでも始まっており、日本病理学会は遠隔支援の指針を11月にも決定し、普及を後押しする考えだ。

◇     ◇

診断効率化へ 機器開発急ぐ

医療機器メーカーは病理診断を効率化できる機器開発を急ぐ。

サクラファインテックジャパン(東京・中央)はがんの確定診断などに欠かせない「病理標本」を円滑に作製できる装置を昨年12月に製品化した。

がんを発見しやすい標本を作るには、がん細胞を含む組織から脂肪や水分を取り除く必要がある。従来は除去のための薬液補充は手作業だったが、新装置では自動化。臨床検査技師らの負担を軽くした。価格は1台約600万円からで約60台を病院などに納入した。

子宮頸(けい)がんを素早く検査できるシステムを開発したのはシスメックス。細胞のDNA量を比較し、正常な細胞とがんが疑われる細胞を見分ける仕組みだ。

病理医が1日に検査できるのは100人程度とされるが、200人に対応できるようになるという。今後、保険適用を目指す。

(辻征弥、亀真奈文)

[日本経済新聞朝刊2016年8月21日付]

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