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水虫、種類に合わせ治療を 市販薬の前に専門医に相談 塗り薬は1カ月以上、足の裏全体に

2016/8/18 日本経済新聞 プラスワン

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 日本人の4~5人に1人が悩んでいるともいわれる水虫。夏は汗で蒸れて症状が出やすい時期だ。菌に対する間違った知識や自己流のケアがもとで悪化したり、長引いたりする人が後を絶たない。また、よく似た症状を水虫と勘違いしているケースも少なくないという。水虫の種類とそれぞれの正しい治療法や予防法をまとめた。

 足の指先や足裏がかゆいと水虫を疑う。水虫の正体である真菌に詳しい仲皮フ科クリニック(埼玉県川越市)の仲弥(わたる)院長は「水虫だと思い受診する人の約半数が湿疹やかぶれなどの場合が多い」と話す。専門医でも見た目では判断が難しいことも。顕微鏡で白癬(はくせん)菌がいるかどうかで診断する。

 白癬菌とはカビ(真菌)の一種。水虫は白癬菌が皮膚の表面の角質に繁殖して起こる感染症だ。足や爪に感染、それぞれ足白癬や爪白癬と呼ぶ。

 足の場合、3つのタイプがある。指の間にできる趾間(しかん)型、水ぶくれのようなものができる小水疱(すいほう)型、皮膚が硬くなる角質増殖型だ。かゆみや痛みを伴うのは趾間型と小水疱型。これらが慢性化すると角質増殖型に移行することが多い。

 ただ「角質増殖型はかゆみがないため、単なるかかとのガサガサだと思っている人もいる」と、帝京大学医学部付属溝口病院(川崎市高津区)皮膚科科長の清佳浩教授。「冬になるとかかとが割れるという人は、今の時期に顕微鏡で水虫かどうかを調べてもらうといい」(清教授)

■入浴後が効果的

 水虫の治療には、白癬菌を死滅させる抗真菌薬の塗り薬や飲み薬を使う。近年はテルビナフィンやブテナフィンといった、医療機関で処方される抗真菌薬と同じ成分を含む市販薬が薬局でも手に入る。そのため、皮膚科を受診せず、市販薬で治そうとする人も多い。

 そこで注意したいのが、種類と治療薬の選択だ。清教授は「自己判断で市販薬を使うと、症状を悪化させることがある」と指摘する。

 例えば「趾間型の場合、ジクジクした症状があるときに抗真菌薬を使うと、かぶれや二次感染を起こすことがある。まずはステロイド剤などで乾燥させてから治療する」(清教授)。市販薬を使ってから受診すると、顕微鏡でも白癬菌が確認できず、正しい診断の妨げになることもある。

 白癬菌が爪の奥に潜む爪白癬は、飲み薬を使って体の内側から治す治療法がメーンとなる。現在は塗り薬も2種類あるが、いずれも医師の処方が必要になる。「市販薬も正しく使えば効果が期待できるが、自身での見極めが難しい。まずは皮膚科の専門医に診てもらうことが完治の近道」(仲院長)

 塗り薬は正しく塗ろう。インターネットを通じて医薬品情報を提供する「お薬Q&A Fizz―DI」の薬剤師、児島悠史さんは「薬は症状のある部分だけでなく、両足の指の間から足の裏全体に塗る。1日1回、皮膚が清潔な入浴後に使用すると効果的だ」と話す。1回に片足に塗る量は、チューブ入りの薬なら人さし指の第一関節分が目安。「10グラム入りチューブなら、1カ月で3本程度を使う」(児島さん)

■職場でサンダル

 薬を使い始めかゆみなどの症状が治まると治療を自己判断でやめてしまう人が少なくない。「症状が治まっても白癬菌は残っている。完治には角質が新しくなるまで最低でも1カ月は薬を使い、菌を完全に退治する必要がある」(児島さん)。医師に相談しながら根気よく治療を続けよう。

 そもそも水虫にならないためには、どうすればいいのだろう。何よりも、白癬菌が繁殖しやすい高温多湿の環境を作らないこと。職場ではサンダルに履き替える、同じ靴を続けて毎日履かない、自宅では素足で過ごすといった工夫が有効だ。「足の指が離れる五本指ソックスを履くのもおすすめ」(仲院長)

 そして、足を清潔に保とう。入浴時にはせっけんを泡立て、手の指を使って、足の指の間から足裏全体を丁寧に洗う。「かかとがガサガサするからといって、軽石でこするのは禁物。傷がついて感染のリスクが高まる」(清教授)という。

 水虫は家族からうつるケースが最も多い。次いで、ジムや温泉など不特定多数の人が素足で歩く場所。ただし「床に落ちた白癬菌を踏んでも、毎日きちんと足を洗えば予防できる」(仲院長)

 それでも水虫になってしまったら、しっかり治療を受け、周りの人にうつさないようにしよう。

◇     ◇

■頭や顔、首などで発症する菌も

 頭や顔、首などの体にできる水虫にも注意したい。「新型水虫」と呼ばれるトリコフィトン・トンズランス菌は皮膚に接触することで感染する。「2000年あたりから国際交流のある格闘技選手の感染が目立ちはじめ、今は一般にも広まっている」(清教授)。ネコなどのペットからうつるのがミクロスポルム・カニス菌。「最近はネコカフェで感染するケースも見られる」(仲院長)

 いずれの菌も毛を好み、毛穴の奥に侵入しやすい。「頭部に感染すると脱毛、体では赤い縁取りのある輪状の発疹ができるのが特徴」(清教授)。感染かもしれないと思ったら、皮膚科専門医を受診しよう。

(ライター 田村 知子)

[日経プラスワン2016年8月13日付]

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