スーツケースの賢い詰め方は?
旅行が好きですが、荷物の整理が苦手です。スーツケースの中が乱雑になりがちで、旅先で出し入れしているうちに忘れ物をしてしまうこともあります。上手な荷造りのコツはあるのでしょうか?
袋で仕分け 重い物は下に
「重みで下に入れたものをつぶさないように、靴など重い物が下、服など軽い物は上に入れるのが基本」。JTBグランドツアー&サービス(東京・渋谷)の添乗員、加藤悦子さんは言う。重いものが下にある方がスーツケースを持つときにも安定する。ボトルや瓶類が多い化粧品やシャンプー、常備薬は下へ。ハンカチや帽子は上部だ。電化製品や化粧品類は中でぶつかって壊れたり液体が漏れたりしないよう隙間なく詰める。
月に1度、8日間ほどの海外ツアーに添乗する加藤さんは全ての荷物をポーチなどの袋に仕分けている。ドライヤー、スリッパなどそれぞれのサイズに合わせた袋を決めておくことがポイントだ。旅先で出した後、空になった袋は1カ所にまとめておく。
再び荷物を詰める時には、それぞれのポーチやケースに戻してスーツケースに入れていく。こうすれば「チェックアウト時に忘れ物をすることがない」。加藤さんはそれぞれのスーツケース内での定位置も決めているという。
軽い衣類はスーツケースの蓋側に入れる。中で多少動いても問題ないからだ。衣類を入れた残りの部分は、帰りのお土産用に空けておく。
仕分けには風呂敷も便利だ。「使わなくなったら折り畳んでしまえる」。現地で出会った人に、ちょっとしたプレゼントを包む時にも役立つ。
客室乗務員による情報サイトを運営するシーエーメディアエージェンシー(東京・世田谷)の清水裕美子社長のお薦めは、バッグや洋服を買った時についてくる不織布のケース。「ポーチより薄くてかさばらないので、荷物が軽くなる。愛用している客室乗務員は多い」と話す。
服は最小限 旅先で洗う
荷物を減らせれば整理収納が楽になる。衣類や下着は現地で洗濯することを前提に「5日間の旅行なら、洋服も下着も3セットあれば十分」(清水さん)。洗剤を忘れたら「ホテルの備え付けのシャンプーでも洗える」という。洗濯物はバスタオルに挟んで絞り、部屋で乾かす。「ホテルの部屋は乾燥していることが多いので、すぐ乾く」
着回しに一枚あると良いのがシャツ。直接着るだけでなく、上から羽織ることもできる。シワ加工のものや、素朴な風合いの麻素材ならノーアイロンで着られる。Tシャツほどカジュアルになり過ぎないので、レストランで食事する時にも向く。
女性は化粧水や乳液など化粧品が増えがちだが「美容オイル1本あれば髪、顔、体まで使える」(清水さん)。一押しは酸化しにくく、手ごろに買えるホホバオイル。海外は日本と水の硬度が違うことや紫外線が強いことが多い。肌や髪がダメージを受けやすくなるので、男性も一つ持っておくと安心だろう。
100円ショップをうまく活用するのも手だ。消費生活アドバイザーの和田由貴さんは、旅行にぴったりの百均グッズとして衣類圧縮袋を挙げる。「日本が夏で、行き先が冬の場合に、かさばるセーターやダウンジャケット類を小さく収納できる」。メッシュ状のバッグはシャンプーやボディーソープを入れるのに便利。ぬれても気にならないので、そのまま浴室や温泉施設に持ち込める。
洗濯ネットを衣類の分類用に使い、汚れ物を入れておけば帰宅後にそのまま洗濯機に放り込める。化粧品の詰め替え容器も100円ショップに豊富にある。
貴重品の収納も迷うところだが、やはり鉄則は「定位置」(加藤さん)。普段と違う生活を過ごす旅行中は疲労で集中力が途切れることがある。スーツケースやバッグの中の定位置を決めておこう。清水さんは旅行用の貴重品ケースに、お金や自宅の鍵、交通系ICカードをまとめて入れておくという。旅先で出番がない鍵やICカードは「どこに入れたか忘れて帰宅前に慌てるケースがある」ため、あらかじめ一緒に保管しておく。荷造りは旅の一歩。うまく備えて、せっかくの旅行を楽しもう。
(関優子)
[日経プラスワン2016年8月6日付]
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