カンプノウの灯火 豊福晋著
メッシを超えた少年を探し
メッシを超える少年がいた。
バルセロナ在住、気鋭のサッカーライターである著者は噂を耳にするや、スペイン語とカタルーニャ語を駆使して探訪の旅に出る。巨大金満クラブ、バルサの少年チームでリオネル・メッシとともに球を蹴った男の子のリストを携えて。
29試合で97ゴールの怪物君は地方でボクシングのトレーナーになっていた。13歳のメッシが初得点の記念すべき日、2ゴールを決めた「天才」は消息を絶った。早熟ゆえの社会との隔絶はひとつの主題。ただし文体は軽やかな翻訳小説のようだ。
年配の人物が「わしは」と言ったり、比喩の頻発は、異国で現地の文章に長くなじんだ者の脱皮の過程と読めた。もうすぐちょうどよくなる。
★★★★
(スポーツライター 藤島大)
[日本経済新聞夕刊2016年7月28日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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