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地域発文芸誌、書き手を発掘 手作り感・商業性両立

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福岡、熊本、山形と、東京以外の地で文芸誌の創刊が相次いでいる。作家の顔ぶれや特集の中身に工夫を凝らすことで独自性を打ち出し、新たな書き手の発掘を目指している。同人誌を思わせるような手作り感と、地域にとどまらない商業性を併せ持つのが特徴だ。

「久しぶりに小説が書き上げられたのは、肩に力が入っていなかったからかもしれない。書きやすい枚数でいいです、と言われ気が楽になりました」。4月創刊の文芸誌「たべるのがおそい」(書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)=福岡市)に短編「あひる」を寄稿した今村夏子氏はそう話す。

今村氏は2010年に太宰治賞を受賞して作家デビュー。翌年、受賞作に短編を加えた単行本「こちらあみ子」で三島由紀夫賞に選ばれた。しかし、14年の文庫版に新作短編が収められて以降は作品を発表しておらず、「あひる」は約2年ぶりの新作となった。

同作は19日に発表される第155回芥川賞の候補作に選ばれた。東京以外の文芸誌からの芥川賞候補は「樹林」(大阪文学学校・葦書房=大阪市)に載った玄月氏の「おっぱい」以来17年ぶり。

「たべるのがおそい」には今村氏のほか、芥川賞作家の円城塔氏、藤野可織氏、歌人の穂村弘氏らが作品を寄せた。特集「本がなければ生きていけない」では評論家の日下三蔵氏らが本との付き合いに関するエッセーを書いている。編集担当で自らも小説を寄せた作家の西崎憲氏は「意識したわけではないが、寄稿者は大阪・京都在住の作家が多くなった」と話す。

西崎氏と書肆侃侃房代表の田島安江氏とで「何か面白いことをやりたいですね」と話すうちに文芸誌創刊が決まった。「今の文芸誌は総じて同じことをやっている。作品数を絞るとともに、自分の好みを前面に出すことで文学好きを文芸誌に呼び戻したい」と西崎氏。

6000部を発行

「読者の指名買いもある」(田島氏)など反応はよく、発行部数は2刷6千部に達した。年2回刊行で、第2号は10月発売を予定。次の特集では「地図」をテーマに短編の共作を考えている。小説と翻訳に関しては公募もしていく。

「若い書き手を育てたい」という熊本在住の評論家、渡辺京二氏の呼びかけで、2月に創刊されたのが文芸誌「アルテリ」(アルテリ編集室=熊本市)。タイトルは「職人の自主的な共同組織」を意味するという。

創刊号には渡辺氏による上田秋成「春雨物語」の「死首のゑがほ」の口語訳及び解説、詩人で作家の石牟礼道子氏の短歌、同じく詩人で作家の伊藤比呂美氏による詩経の日本語訳などを収録。こうした著名な書き手以外に、熊本の商店主らの寄稿も掲載した。

「制約を設けず、書き手に自由に発信してもらえる場になるように心掛けた。一番の目標は続けていくことだが、ただの自己満足になったらやめざるをえない」と責任編集者である橙(だいだい)書店(熊本市)店主の田尻久子氏は話す。

創刊号の発行部数は2刷2千部。編集室がコピーやデザインを考えた雑誌内の広告は手作り感のあるものとなり、地元の店舗や企業を中心とするスポンサーに好評だったという。年2回刊行で、8月発売を予定する第2号は「熊本地震に触れた原稿が多くなる」(田尻氏)見通しだ。

11年創設の東北芸術工科大学文芸学科(山形市)も昨年、年刊文芸誌「文芸ラジオ」を創刊している。刊行は東京の京都造形芸術大学・東北芸術工科大学出版局芸術学舎だが、学生スタッフも含めて山形で編集している。

大学発メディア

編集長を務める東北芸工大准教授で文芸評論家の池田雄一氏は「創作と編集を教える文芸学科にとって、自前のメディアを持つことは創設以来の目標だった」と述べる。

もっとも、学生の作品だけでは商業誌として売るのは厳しい。3月刊行の第2号には同大教授の川西蘭氏らプロの作家の小説や、女優の小橋めぐみ氏、格闘家の前田日明氏らの本にまつわるインタビューなども載せた。創刊号、第2号ともに4千部を発行した。

来年刊行予定の第3号の編集長を務める同大講師で歴史学・エンターテイメント文化研究家の玉井建也氏は「文芸誌を買ったことのない人にも手にとってもらえるものを目指す」と意気込む。

「アルテリ」創刊にかかわった渡辺氏は「今の時代を生きる上で、詩や短歌、小説を書くという行為が自分を支える生命となっている人は多い。そのための場所を用意したかった」と話す。その上で「地方文壇を作るつもりはない。地域から全国に向けて発信する場にしたい」としている。

(編集委員 中野稔)

[日本経済新聞朝刊2016年7月16日付]

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