和太鼓集団「DRUM TAO」、快進撃!
力強さ演出 世界沸かす
和太鼓パフォーマンスの集団「DRUM TAO」が快進撃を続けている。今年2月に念願だった米ブロードウェーで全6公演を完売、約5000人を集客した。12月まで凱旋公演として国内を巡業中で、1993年の活動開始から累計動員数は700万人に迫る。鍛えられた肉体による力強い演奏、ダンスや殺陣、動画を組み合わせた演出で観客を沸かせている。
TAOは代表・演出の藤高郁夫氏(57)を中心に、数人の和太鼓演奏者が集まり愛知県で結成。翌年に演歌歌手、北島三郎の舞台に出演するなどして頭角を現した。95年に現在の拠点である大分県竹田市に移転。共同生活を送りながら九州を中心に公演を続け、ファンを拡大してきた。
海外進出のきっかけは2004年に参加した英エディンバラの芸術祭。初出場ながらチケット販売数トップの人気を得て、欧米の劇場関係者から注目される。「日本の伝統楽器にこだわって、言葉の要らないエンターテインメントを目指してきた」(プロダクション部の津田知彦氏)
同じく海外でも人気の和太鼓集団「鼓童」が演奏そのものを前面に出し、法被といった伝統衣装で舞台に立つのに対し、TAOは動画を取り入れた演出やコシノジュンコがデザインした斬新な衣装が特徴。昨年の新作「百花繚乱(りょうらん)・日本ドラム絵巻」では演出に宮本亜門を迎え、初めて芝居仕立ての舞台を制作。今年1~3月の北米ツアーでも上演した。ブロードウェー公演の直前には米のテレビ番組で5分間のパフォーマンスを披露。全米に名が広まり、米誌で「TAOは日本を売り出す顔になる」と高い評価を得た。
熊本地震では活動拠点も被害を受けたが、直後に熊本城で復興ライブを開催。新曲「熊本」などを演奏した。被災地を励ます活動を続けている。
今後は18年春をめどに、大分に和太鼓をはじめ和楽器を教える芸術学校を開設する予定。専用劇場や飲食施設も整備した芸術村をつくって地元の活性化にも一役買う考えだ。藤高氏は「東京五輪を控え、私たちが先陣を切って日本の良さを世界に知らせることに貢献できたらと思う」。大分の次は東京に専用劇場を持つ夢を抱いている。
(雄)
[日本経済新聞夕刊2016年6月15日付]
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