永谷脩の仕事 永谷脩著、石田雄太監修
生の情報と感情を伝える
一昨年、雲の上へ。スポーツライターの永谷脩(おさむ)が、死の直前までの32年間、スポーツ誌「ナンバー」に綴(つづ)った記事から53篇(へん)を編んだ。
清原和博が明るく語る。「汚れを知らない19歳ですから」。落合博満は「本物のプロっていうのは、作り上げていく段階を人に見せたり、喋(しゃべ)ったりしちゃいけない」と述べながら、同じインタビューで「蚊」を「どういう風に叩(たた)くか」に打撃のヒントがあると明かしてしまう。
憎めぬ笑顔と行動力。もじもじせず、ほれた人、時の人の懐に飛び込んで、対象にほれられる。文体に頼らず論を退け、ひたすら生の情報と人間の感情を読者に届けた。これは作品集ではない。書名のまま「仕事」の記録なのである。
★★★★
(スポーツライター 藤島大)
[日本経済新聞夕刊2016年5月26日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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