マネー研究所

得々家計

ペット保険で医療に備え 補償対象外の治療に注意

2016/5/14付 日本経済新聞 プラスワン

 総務省が「こどもの日」に合わせて発表した15歳未満の子どもの数は推計1605万。一方、一般社団法人ペットフード協会によると、全国の犬と猫の飼育頭数は約1979万(2015年10月)で、子どもの数を上回る。「ペットは家族の一員」という飼い主にとって経済的負担となるのがペットの医療費。それをカバーしてくれるペット保険のニーズが高まっている。
動物病院でかかった診療費の一部をカバーしてくれる

 千葉県に住む50代の主婦Hさんの愛犬は8歳のミニチュアダックスフント。おなかをこわしたり皮膚がただれたりして年に5~10回、動物病院で受診するが、ペット保険に入っているので「自己負担が毎回半額ですむのはありがたい」と話す。保険料は年々アップしていくが、いざというときのために契約を続けるつもりだという。

 ペットの健康管理に気をつける飼い主が増えてペットの寿命は延び、治療費は高額化している。ペット保険を販売するアクサ損害保険への請求事例では、犬の外耳炎で10万9000円、異物誤飲で27万9000円の治療費がかかったケースもある。

 ペット保険は、動物病院に通院・入院をして受診したり、手術を受けたりした際にかかった費用の一部を補償する。対象となるのは犬と猫だ(フェレットなど小動物を扱う会社もある)。ペット保険の加入率は5%程度とみられるが、ここ数年市場は拡大している。

 ペット保険を扱うのは損害保険会社4社と保険引受額に上限のある少額短期保険会社10社ほど。万一破綻した場合、損保会社は業界で作る契約者保護機構を活用するのに対して少額短期保険は各社で対応する点などが異なるが、ペット保険の商品内容に大きな違いはない。

 かかった治療費に対する補償の割合は5割か7割かのどちらかを選択する商品が多い。通院・入院・手術をセットでカバーするのが一般的だが、アイペット損害保険のように、手術と手術を伴う入院に限定するコースを設ける例もある。

¥     ¥

 保険金の受け取り方法は2通りある。1つは、動物病院の窓口で治療費の全額をいったん支払い、その領収書などを保険会社に送って請求する方法だ。保険金は後日、指定の銀行口座に振り込まれる。

 もう1つは病院窓口で精算する方法。保険会社と提携する病院で治療を受けた場合、補償額を除いた自己負担分だけを支払う。請求手続きや立て替え払いが不要で便利だ。窓口精算に対応する動物病院はアニコム損害保険で全国5867、アイペット損害保険で同3604ある。

 もちろん窓口精算に対応しない病院で治療を受けることもあるだろう。その場合は保険会社に請求手続きをすれば保険金を受け取れる。

 気になる保険料について見ていこう。保険料は、補償割合を5割より7割と手厚くしたほうが当然高くなるが、その他で保険料を大きく左右するのがペットの年齢だ。一般に年齢が高くなるほど保険料は上がる。

 ペット保険は通常、契約期間が1年で、更新するたびに保険料は上がる。例えばアニコムで一定の条件で0歳で加入したときの保険料は月額3270円、7歳では同5210円。加入時だけでなくその後保険料がどうなるかをチェックしよう。

 犬はほとんどの保険会社が、犬種や体重などで3~5段階の保険料を設定しており、大型犬のほうが保険料が高い傾向にある。飼っている犬種によって保険料が割安になる保険会社を探すとよいかもしれない。

 保険料の負担を抑える方法としては1年分まとめて払う「年払い」が有効だ。多くの保険会社は、年払いにすると毎月払いの1カ月分程度、保険料が割安になる。

 独自に割引制度を設ける会社もある。アクサではインターネット上で申し込むと初年度の保険料が3000円安くなる場合がある。会社によっては複数のペットで加入すると割安になる多頭割引や、ある年に保険金の支払いがないと翌年の保険料が割安になる無事故割引もある。

¥     ¥

 ペット保険で注意したいのは、補償の対象外となる治療がある点だ。例えば去勢・避妊手術や予防接種、予防目的の診療費、妊娠・出産とそれに伴うケガ・病気、歯石取りは一般に対象外となる。予防接種をしていれば防げたはずの病気も補償されない。

 保険金の支払日数や年間の補償額に上限がある商品もあるので確認しておこう。各商品とも新規で加入できる年齢には上限があり、7~13歳程度。加入後は原則、終身で継続できる。

 加入前に大きな病気をしていると、その病気については補償対象外となったり保険自体に加入できなかったりする。「ペットが若くて元気なうちに保険に加入しておけば、そのあと病気になっても補償されるので安心だ」(アニコム損保経営企画部課長の塩澤みきさん)という。

 ペット保険はいざというときに愛犬・猫にできる限りの治療を施したいと思う人や、高額の治療費負担に不安を感じる年金生活者などに向いている。各社の補償内容や保険料、サービスを十分比較して選びたい。

(ファイナンシャルプランナー 馬養 雅子)

[日経プラスワン2016年5月14日付]

マネー研究所新着記事