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勇気づける心理療法「アドラー流」 職場や家庭で注目

行動変えて理想の姿へ

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NIKKEI STYLE

 職場や対人関係の悩み事で心理カウンセリングを受ける人は多い。近年注目されているのがアドラー心理学に基づいたカウンセリングや心理療法だ。相談者から問題解決の方法を引き出し、望ましい行動に向けて勇気づける手法は、人生の様々な局面で応用できそうだ。

アドラー心理学はオーストリアの医師で心理学者のアルフレッド・アドラー(1870~1937年)が創始した。アドラーの思想を紹介する『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著)がベストセラーになるなど、近年関心が高い。

駒沢大学教授の八巻秀さんは大学で心理学を教える傍ら、アドラー心理学に基づくカウンセリングや心理療法を施すオフィスを東京都立川市内に開いている。

行動パターン分析

八巻さんによると、アドラー心理学によるカウンセリングの特徴は「クライアント(相談者)が訴える問題の原因を探るのではなく、今後それをどうしたいかという目的を見つけてあげること」だという。

そのためカウンセリングではまず「ライフスタイル」と呼ばれる相談者の特徴を分析する。ライフスタイルとは人生の目的や目標に向かって進むときにその人がとる行動パターンを指す。

「アドラー心理学では、ライフスタイルがうまくいっていないから問題が起きていると考える。そしてライフスタイルをどう変えればいいか、クライアントと話し合う」(八巻さん)

八巻さんに相談に訪れた30代の男性Aさんのケース。教育関係の仕事に就いているAさんは人前で話す際に、過度に緊張してどもることに悩んでいた。

最初の面談で八巻さんは、Aさんのライフスタイルを分析するため、子供の頃の思い出を語ってもらった。これは「早期回想法」と呼ばれるアドラー心理学独特の技法だ。

Aさんが回想したのは、厳格な父親に育てられ、自分を含め家族が父に対しておびえるように暮らしていたという場面だった。そんなAさんは人前で自分の本心を語ってはならない、というライフスタイルに陥っていると判断された。

人前で話そうとすると本心が出そうになるので、それを止めるためにどもってしまう――。「どもる」という問題が「本心が出るのを止める」という目的のために自ら選択した行動であると解釈するのがアドラー流だ。

カウンセリングでは、そうした行動を生むライフスタイルをどう変えるかを話し合った。八巻さんがAさんに提案したのは「目の前の人は安心できる人であると考えるライフスタイル」だった。

その後Aさんは、八巻さんの勧めで、喫茶店の店員と軽い世間話をしてみたり、交際相手の女性と自然な気持ちで話したりする試みを経て、1年足らずで、職場でも自然に話せるようになっていったという。

将来に目を向ける

過去にこだわらず、将来の目的に目を向けるという前向きの生き方。このアドラー心理学の考えを学んで、職場や家庭、教育などの場に生かしていこうという人が増えている。

4月16~17日、東京都新宿区内で、アドラー心理学を学ぶ講座が開かれていた。アドラー心理学の普及活動をしている「ヒューマン・ギルド」が主催する、4日間の「ベーシックコース」の後半の2日間だ。

約20人の参加者は、アドラー心理学の基本的な思想や、目的を見つけるよう促す「勇気づけ」などについてディスカッションをしながら理解を深めていった。参加者の一人、男性の会社員は「人生への見方を一変させるようなアドラーの思想に強い興味を覚えた」と話す。

ヒューマン・ギルドでは個人向けのカウンセリングもしている。代表の岩井俊憲さんは相談者を勇気づけることによって「過去の物事に悩む状態から、何をすればいいかと見通せる状態に変わってもらう」と説明する。「数回のカウンセリングで、問題解決の方向が見つかることも多い」という。

◇     ◇

「目的」探して人を理解

アドラー心理学は正式には個人心理学と呼ばれる。他の心理学の多くが「人の行動は過去の原因によって決まる」という考えをとるのに対して、アドラー心理学では「どんな目的でその行動を選んだのか」という点に注目する。

うつ病や引きこもりといったケースでもその「目的」を探す。「会社に行かなくてすむよう病気を発症した」という具合に、行動によって達成される目的が何であるかによって、その人を理解しようとする。

人の行動の原因が過去にあるとすると、行動を変えるのは難しい。過去は変わらないからだ。しかし人の行動が未来の目的によって決まるとすれば、適切な目的を見付けることで新たな行動をとれるとアドラー心理学では考える。

アドラー心理学に基づくカウンセリングや心理療法では、こうした目的を見付けられるよう支援する。これを「勇気づけ」と呼ぶ。アドラー心理学が「勇気づけの心理学」とも呼ばれるのはこのためだ。

(編集委員 吉川和輝)

[日本経済新聞夕刊2016年4月28日付]

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