こだわり旅行企画、SNS・アプリで仲間募る
お役立ち支援サービス
「見知らぬ仲間と一から旅を作る過程が楽しい」。山口県の会社員、園田真人さんは昨年末、インターネットの交流サイトを通して、米ニューヨークの観光名所、タイムズ・スクエアの年越しイベントに参加した。
個性豊かな案が400本
園田さんが利用したのは「trippiece(トリッピース)」。仕組みはこうだ。ツアー企画を考え、この交流サイトに登録。希望者が5人以上になると、サイトの運営者「トリッピース」が旅行会社に企画を依頼する。その後の細かな日程や宿泊先などは参加メンバーで話し合って決めていくという。
このサイトを通じてこれまでに実現したツアーは「モロッコの砂漠で日の出を見る」など個性豊かなものばかり。企画案は月に400本以上登録され、7月は約3000人が旅に出たという。
旅行先の人々の暮らしをもっと味わいたいとのニーズに応えるサービスも増えている。6月、スウェーデン・ストックホルムに家族旅行した永井幸恵さんが宿泊したのは地元の民家。「地元の人と交流したり、近くのスーパーや公園に出かけたり。現地の暮らしを体験できた」と永井さんは振り返る。
永井さんが利用したのが世界各国の個人所有の空いている部屋や住宅を旅行者に紹介する「Airbnb(エアビーアンドビー)」。米ベンチャー企業が運営し、190カ国の約3万4000都市の物件が登録されている。旅行者は部屋を提供するオーナーと直接やりとりして宿泊先などを決められる。
現地で暮らす人のアドバイスを踏まえ、ひと味違う旅行を楽しめるのが「Voyagin(ボヤジン)」だ。インドネシアやベトナムなどアジア各国に住む人が日本の旅行者向けにプランを考え、サイトに登録している。例えば「台湾のグラフィックデザイナーが台北の名所や最先端のレストランを案内するツアー」といった個性的なプランが約800紹介されている。
仕事の体験ツアーも
忙しくてまとまった休みが取れない人でも、日帰りや短期旅行でも楽しめる国内レジャーの紹介サービスを利用する手はあるかもしれない。
「寿司職人になる旅」や「ヴァイオリン職人になる旅」など、様々なプロの仕事を体験できるのが「仕事旅行」。サイトには約100種類の仕事体験ツアーが並んでいる。プロの話を聞いたり現場を見たりするだけでなく、仕事の一部を経験できる。
スカイダイビングなど約2500のレジャーを登録しているのが「ASOViEW!(あそびゅー!)」。宿泊施設や交通手段はネット予約が定着しているが、現地でのレジャーはネット予約がまだ広がっていない。あそびゅー!はお目当てのレジャーを簡単に予約できるようにした。
今回紹介したサービスを実際に利用するには運営会社に手数料などを支払う必要があるが、ツアーや宿泊施設の検索などは無料なので、旅行の参考にのぞいてもいいだろう。
旅にトラブルはつきもの。運営会社は独自の審査基準を作り旅行の安全確保に努めたり、利用者や宿泊施設のオーナーの身元確認を徹底したりしているというが、自分の身は自分で守るという意識を持つことが自由な旅を楽しむ前提であることも忘れずにいたい。
(証券部 飯山辰之介)
[日本経済新聞夕刊2014年8月7日付]
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