手土産・会話… 夫の実家に帰省する時の注意は
手土産、好みを情報収集
「夫の実家に帰省するが、いつも手土産に悩む」と、東京都在住の会社員の女性(42)は言う。気の利いたものをと思うが、結局、無難そうなお菓子に。義父母は喜ぶが、本心かは疑問だ。
「まず夫に義父母の好みを聞いて」というのは「清紫会」新・作法学院(東京都千代田区)学院長の近藤珠實さん。「相手の嗜好や生活の情報を収集して、考えることが大事」と言う。それが気をつかうこと、つまりマナー。今後のために、義父母に会った際、雑談から好みを探るのもいい。
手土産にしやすいものは、食べ物、飲み物。自分の住む地域の名産品や評判のお取り寄せ物も手だ。小分け可能なもの、日持ちがする物も重宝する。目安は4千~5千円。仏壇にお供えするかは相手が決める。
マナースクール「ライビウム」品川(東京都港区)代表の諏内えみさんは、「持病があったり、健康に気をつけている方には慎重に選んで」と助言する。
渡すときは、近藤さんも諏内さんも「お好きな○○を見つけたので」「おいしいのでぜひに」など、心を込めて選んだと伝わる言葉を添えてと勧める。つまらないものと卑下しない。
とても気に入ってもらえたら「今度もこれにしますね」と定番にすればラク、と近藤さんは言う。親戚や近所への手土産が必要かどうかは、義母に必ず確認。勝手な判断は、義父母に恥をかかせることにつながる。
結婚式場選びの口コミサイトを運営するみんなのウェディング(東京都中央区)は昨夏、「結婚後の帰省に関するアンケート」を行った。気をつかうトップは手伝いの程度だった。
同社広報・IRグループの竹井真希さんによれば、「いいわよ、座っていて」と言われてどうするべきか迷う人が多いとのこと。昔の作法では、3回遠慮して4回目に「ではお願い」となったと近藤さんは言う。だから、相手の言葉をうのみにせず、2、3回は「させてください」と伝えよう。
「デキる」より「気さく」がポイント。キッチンなどでは、その人なりのやり方があるから、「教えてください」と素直に聞くのがいいと諏内さん。エプロン持参は必須。やる気を表現できる。
客ではないのでお茶入れを申し出るのもいい。ただ勝手にあちこち開けるのはよくない。「開けます」とことわりを。自分の子どもの世話で手伝いにくい場合は「お母さんも休んで」と声がけして気づかいたい。
挨拶、部屋できちんと
帰省先に着いての挨拶は、部屋に上がってからきちんとしたい。和室なら座布団をはずして正座で、洋間ならきちっと立って改まった挨拶をしよう。
そのあと互いの近況に話が弾むが、それが尽きて会話に困った経験者も多いだろう。清紫会の近藤さんは「夫の子どもの頃のことや、近所やその地域のことを聞くと義父母も話しやすい」とのこと。情報を共有したいと思うと、家族感覚も増す。笑顔になれる会話がコツ。それでも話が途絶えたら、「近所を散歩してきます」と外に出るとお互いほっとでき助かるのでいい。
「マナーは人を大事にする方法。何事も相手に興味をもち、相手を思うことで、どうするといいかが決まる。形ではなく心」と近藤さん。ライビウムの諏内さんは「帰宅後、早いうちに、電話や手紙などでお礼を伝えたい」と言う。これも心の表れだ。帰省は、家族になっていく機会だ。
一方の夫は、妻が困っていないか気づかいを。義父母側も手伝ってほしいことなどをあらかじめ考えておき、ある程度、率直に伝えるとストレスにならない。
(ライター 小長井 絵里)
[日経プラスワン2014年7月26日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。