GODZILLA ゴジラ
最後をさらう貫禄の守護神
ハリウッド製2本目のゴジラ映画である。前作(1998年)とはちがい、ゴジラの形状はオリジナルを尊重して、重々しさがあるし、放射能との因縁にも重きがおかれている。
「パシフィック・リム」(2013年)のレジェンダリー・ピクチャーズが製作し、これが長篇2作目の新鋭ギャレス・エドワーズが監督した。
エドワーズの前作「モンスターズ/地球外生命体」(10年)は、低予算ながらドキュメンタリー的なリアルなタッチでスリルをもりあげた、秀逸な怪獣映画だった。あの作風はこの超大作でもかなり生きている。
発端は、フィリピン山中のウラン鉱山の陥没現象。日本人科学者、芹沢猪四郎博士(渡辺謙)が現場を視察する。何か得体の知れない巨大なものが、鉱山から密林をなぎたおして海へ出たような跡が残っている。
その海の向こう、日本の原発が、大地震のような揺れにおそわれ、事故が発生。外国人技師たちが何人も死亡。妻(ジュリエット・ビノシュ)を目の前でうしなう科学者ブロディ(ブライアン・クランストン)。
15年後。ブロディは、事故の原因をなお探りつづけている。成長して兵士となった息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、そんな父を変人視していたが、原発跡から出現する巨大生物を目撃する。
これがゴジラかと思うとそうではなく、ムートーという、放射能を摂取して生長した奇怪な形態の怪獣。
太平洋を渡り、アメリカで増殖しようとするムートーをはばむのが、お待ちかねのゴジラ。悪の破壊獣ムートーに対し、生態系のバランスをまもろうとする、地球の守護神という位置づけ。サンフランシスコが舞台の壮絶なたたかいがクライマックス。出番はすくないが、最後をさらう、横綱のような貫禄のゴジラが、カッコイイ。2時間4分。
★★★
(映画評論家 宇田川 幸洋)
[日本経済新聞夕刊2014年7月25日付]
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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