「文鎮化」 ずっしり重い、故障スマホ
コトバ百貨店
子どものころ持っていた文房具で、その仕事ぶりを見習いたいものといえば文鎮。自分が持っていたのは鉄の角棒に丸いポッチがついたあれで、たしかに書道の時間の活躍は目を見張るものがあった。ところがほかの仕事はまるでだめ。ペーパーウエイトにしては長すぎるし、防犯用の武器にしては短すぎる。しかも気軽に捨てることもできないので、何十年も引き出しのお荷物に。このいさぎよいまでの一芸ぶり。何かと機能を欲張る今の時代には、貴重な志だと思う。
というわけで今週のお品物は「文鎮化」。デジタル時代になっても、そんな文鎮の存在を忘れていない人が多いんだろう。電池切れや故障でスマートフォン(スマホ)などが使い物にならず、ただの鉄の塊になってしまう状態をこう呼ぶ。つまり、やたら高価な文鎮になってしまったという意味。
たしかにスマホと電動自転車は、現代の「電池切れすると急に重くなるもの」のトップ2。自分も電池切れして、なぜかずっしり重いスマホを手に、真っ暗になった画面を何度、涙目で見つめたことか。はっきり言って、文鎮にもなりゃしない。重いけど、めったに役に立たない自分としては、文鎮のほうを支持します。
(ライター 福光 恵)
[日経プラスワン2014年3月22日付]
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