今さら聞けない 無料Wi-Fiの基本と注意点
Wi-Fiは公衆無線LAN(構内情報通信網)の通信方式の名称。無線LANは基地局とスマホなどを無線でつないで、データ通信をする仕組みのこと。家庭用電話機の親機と子機に例えて考えるとわかりやすい。
電話機では親機まで電話回線がつながっているが、親機と子機の間にケーブルはない。電波を使って接続するからだ。無線LANも同じ。店舗などにインターネット回線とケーブルで接続している端末を親機として置き、スマホなどと電波でつなぐ。
「Wi-Fi使えます」という表示は無線LANの基地局として端末を設置していることを示す。スマホだけでなくタブレット(多機能携帯端末)、ノートパソコン、ゲーム端末など無線LANの機能があれば利用できる。
無料Wi-Fiの利点は通信料をかけないで高速のネットを利用できること。これに対しスマホで携帯電話回線を通じて高速通信サービス「LTE」を月7ギガ(ギガは10億)バイトまで使う場合、通信料は5500円程度の例が目立つ。
無料Wi-Fiの普及が進んでいるのはセブンイレブンなどコンビニやスターバックスコーヒーなど飲食チェーン店だ。交通機関では東京メトロが駅構内で導入。福岡市は観光客の利便性向上のためホテルや商業施設など約280カ所に機器を設置し、京都市もバス停や区役所などで提供している。
こうした場所ではどの通信会社のスマホでも利用できるのが一般的。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手通信3社も独自に無料Wi-Fiサービスを展開しているが、対象は自社の契約者のみとなっている。
無料Wi-Fiを利用するにはどうすればいいのだろうか。スマホで接続する場合は無線LAN機器のある場所で設定画面を開き、Wi-Fiの項目を選択。電波を自動検知して画面に現れるリストからサービス事業者を選ぶ。どれを選ぶか迷ったら施設の従業員に聞くといい。
ネット閲覧のブラウザーを立ち上げると会員登録画面につながるのでメールアドレスなどを入力する。事業者から届くメールに記載されたリンク先をクリックすると会員IDとパスワードが通知される例が多い。事業者のホームページのログイン画面でIDとパスワードを入力すれば無料でネットを閲覧できる。
ただ「Wi-Fi使えます」という表示があっても無料か有料かを明示している例は少ない。施設の従業員に無料であることを確認してから利用しよう。1日当たりの利用に制限がある場合もある。例えばセブンイレブンは1回60分で1日3回まで、ファミリーマートは1回20分で1日3回までだ。
事業者が同じなら無料Wi-Fiを利用する場所が違っても新たに会員IDとパスワードを取得する必要はない例が多い。事業者が異なる際は会員登録をする必要がある。
個人情報の扱いにも注意したい。無料Wi-Fiはセキュリティーが弱く、個人情報が漏れる懸念があるとの指摘も出ている。利用できるのは公共の場所が多いためクレジットカード番号などの入力は避けるのが無難だ。
事業者は利用者が無料Wi-Fiを使った日時と場所、ネットの閲覧履歴などの情報を収集している。サービスの開発や改善などに役立てるためだ。利用規約では個人情報の保護について触れているが、こうした情報を提供したくない場合は利用を避けるのも選択肢だ。
(テクニカルライター 佐藤 信正)
[日経プラスワン2014年2月8日付]
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