バレンタイン直前 本格チョコをカンタン手作り
材料選び 質にこだわる
「初心者でも、コツさえつかめば本格的なチョコレートを作れます」。洋菓子研究家の加藤千恵さんはこう話す。加藤さんが東京・自由が丘のアトリエで開くチョコレートの講習会には、全国から受講生が集まる。
1月下旬の講習会に富山県から参加した田口睦子さん(35)は「今年こそ大人のチョコレートを作る」と胸を弾ませる。
チョコレートを溶かして型に入れるだけのものから、中に詰め物をするボンボンショコラまで2日間で13種類の作り方を習った。飾り付けのコツも教わり、どれも店で並ぶような出来上がりだ。
手作りをするなら、友人が驚くようなおいしいチョコレートを作りたい。「まずは材料のチョコレートの質にこだわって」と話すのは、製菓材料専門店を運営するクオカプランニング(徳島市)の松本岳子さんだ。
チョコレートはスイートやミルクなど、種類によって含まれる成分が異なる。包装紙に記された「カカオ分○○%」はカカオマスとカカオバターを合計した割合。カカオ分が高いほど良いというわけではなく「食べやすいのは60%程度のもの」と松本さんは薦める。
チョコレートはカカオ豆の産地や製法によって甘み、苦み、酸味のバランスが違う。店で試食をしたり、好みを店員に伝えたりして、イメージに近い材料を買おう。
ボンボンショコラはハードルが高いと思う人は、上質な材料を溶かして型に入れたり、オレンジピールなど砂糖に漬けた果物の一部にチョコレートを付けたりするだけでも、立派な贈り物になる。
見た目がつややかで口溶けも滑らかなものを作るには「テンパリング」という作業が必要だ。
スイートチョコレートの場合、図のように温度調整をすると、脂肪分を安定して固められる。テンパリングをしないと、固まったときに表面にブルームという白カビのようなものが出て、ボソボソの食感になる。チョコレートの種類によって適した温度は違うので、店員に確認しよう。
溶かすチョコレートが少量だと温度がすぐに変わって作業がしにくい。加藤さんは「最低でも300グラムぐらいで作った方がうまくできる」と話す。テンパリングは失敗しても何度もやり直せる。使い切らなくても20度程度の室温で保存すれば、後日、再び利用できる。
金箔飾り大人っぽく
チョコレートを滑らかに溶かすテンパリングの作業に自信のない人は、微妙な温度調整をしなくても作れるチョコレートブラウニーやマフィンなどがおすすめだ。材料のチョコレートは60度以下の温度で溶かす。バターやココアパウダー、薄力粉、卵などほかの材料と混ぜ合わせるので、細かい温度調整が必要ない。
料理教室を展開するABCクッキングスタジオ(東京都千代田区)の橋本慶子さんは「ブラウニーは初心者でも失敗が少ないのでおすすめ」と話す。中にクルミなどナッツ類を混ぜ、表面にチョコレートソースをかけてドライフルーツや金箔、銀箔シュガーなどで飾り付けをすれば、大人っぽく仕上がる。
実は生チョコレートもテンパリングをしなくても作れる。チョコレートを溶かした後は生クリーム、バター、転化糖などを加えて混ぜるだけ。型に流し入れて冷蔵庫で一晩冷やし固めればいい。
仕上げに粉砂糖を振ればおしゃれ。「ピンクペッパーや七味唐辛子など香辛料をのせるだけでも、大人の贈り物になる」と松本さんは話す。
(坂下曜子)
[日経プラスワン2014年2月8日付]
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