女性のためのDIY入門 失敗なく始める3カ条
木材切断はプロに依頼
塗り替えからが手軽
「久しぶり。今日は切り出しからだね」。2013年12月上旬、東京都練馬区の建物の一室で、明るい女性の声に混じり、ノコギリで木を切る音が響きだした。
ここはDIY(Do It Yourself)を愛好する女性サークル「DIY女子部」が、DIY用品卸の角利産業(新潟県三条市)の協力で設けた工房。ほぼ毎週、ワークショップ(講座)があり、この日は小型の椅子を作った。
3人の女性受講者が木材の切断に成功すると、歓声と拍手をする様子は楽しい部活動の趣だ。工作は本格的で、約3時間で3脚の椅子ができた。
参加者の1人、門由美子さんは「DIYは家の修繕を機に始めたが、楽しくてやめられない。今日は椅子も完成して自信がついた」と話す。
DIY女子部は11年に結成後、一貫して部員が増え、13年12月で1400人を超えた。女性なら誰でもインターネットで入会でき、会費は無料。ワークショップ参加費も1回3000円前後と手ごろだ。ワークショップを開く工房は東京都のほか、大阪府、愛知県、長崎県と4カ所ある。
DIY女子部本部の牟田由紀子さんは「ワークショップに参加できなくても、既製品の色の塗り替えや簡単な改造から始めると、気軽にDIYを楽しめる」と話す。
切り出しや組み立ては講師の指導を受ける方が安心だが、色塗りなどは初心者もある程度は自己流でできる。基本的な質問は女子部もネットで受け付ける。「色を塗りながら家具の構造を眺めると自分で作るときの勉強にもなる」(牟田さん)
手になじむ工具を選ぶ
DIYは全工程を自分で手掛ける印象もあるが、簡単な作業だけを「つまみ食い」する方が負担がなく、飽きにくい。
インテリアデザインの観点を加えたDIYセミナーを開く森美香子さんも「大きな木材などの切断はホームセンターに頼める。組み立てに集中すると楽しいし、ごみや騒音も出にくい」と助言する。切断の図面は、一般にDIY関連セミナーや参考書で入手できる。
森さんは「『自分でライフスタイルに合う住まいなどを作る』ことが本来のDIYの意味。すべて手作りにこだわるより、気に入った色や部品をどう使うかを考えた方が面白いものができる」と話す。発想を柔軟にして、作る楽しさを感じることが上達の早道だ。
DIYを始めるときには作る物の完成例と、適切な工具をそろえておくといい。
完成のお手本はワークショップやセミナーなら簡単に見られる。参加する機会がない人は、自分が気に入った家具や雑貨を扱う店の品を観察し、構造や色塗りのヒントにするのも一法だ。
最近はネットで手作り家具の作例が見つかる場合も増えた。DIY女子部は現在、手作り小型椅子のコンテストを開いており、応募作品をネット上で公開している。
工具をどの程度、買いそろえればいいかも初心者には難しい問題。森さんは「初心者は大型電動工具は必要ない。特に女性は大きさや重さ、持ち手のすべりにくさなどを基準に選ぶのが原則だ」と話す。
基本装備はノコギリ、金づち、ラジオペンチ、ドライバー、直角に曲がった定規、作った家具などの各部が水平になっているかを測る「水平器」など。万能はさみ、大型カッター、巻き尺などは既に家庭内にあるもので応用できることもある。電動式工具は手ごろなサイズの電動ドリルのみでいいという。
(堀大介)
[日経プラスワン2014年1月11日付]
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