豚しゃぶは白 ワイン選ぶコツ、料理の色に合わせて
まずはブドウの品種から
まずはブドウの品種知る
「時間の経過とともに香りも変化していくのね」――。2013年12月、ワインショップのエノテカ二子玉川東急フードショー店(東京都世田谷区)でのワインセミナー。参加した女性たちは基礎知識を学びながらワインを楽しんだ。
酒販店にはさまざまなワインが並ぶ。何を基準に選べばいいのか、迷う人も多いだろう。
「まずはブドウの品種からアプローチしては」とワイン専門家、シニアワインアドバイザーの天川仁さんは助言する。
赤ワインなら黒ブドウのカベルネ・ソービニヨン、メルロー、それにピノ・ノワール。白ワインなら白ブドウのシャルドネ、リースリング、ソービニヨン・ブランの3品種を代表格にあげる。最初はそれぞれの品種のワインを飲み比べ、自分の好みはどれかを探すことから始めるといい。
好きな品種が見つかったら、次は産地に注目しよう。カベルネ・ソービニヨンが好きなら、原産地である仏ボルドー地方産の赤ワインを何本かと、違う国で造ったワインを飲み比べてみる。
「同じ品種でも土壌や気候、作り手が違うと、味わいが微妙に異なる。それがワインの奥深さの一つ」でもある。品種はボトルの表や裏のラベルを参考にするといい。
ワインはタイプ別にも分類される。赤ワインならコクがあり、飲み応えがある「フルボディー」、飲み口が軽快であっさり気味の「ライトボディー」、その中間の「ミディアムボディー」。白ワインなら「辛口」「甘口」と、中間の「中辛」の各3種類。ボトルの裏や店頭の表示をチェックし、自分の好みのタイプを探してみよう。
大手量販店によると、ワインの売れ筋価格帯は1000円前後。普段、自宅で飲むならその程度でも十分だ。特別な日や手土産などに3000円以上のワインを購入する際は、ビンテージ(収穫年)も考慮するといい。
ブドウの出来は年によって違う。米国やオーストラリア産などはあまり気にしなくていいが、欧州産は差が大きい。必ずしも古ければいい、というわけではないので、お薦めを店員に聞こう。白でさわやかに飲みたいなら、最近のビンテージを選ぶといいそうだ。
ワインには赤、白のほかにロゼがあるが、輸入量は多くない。まずは赤と白で、好きなワインの名前、産地などの情報を一つでも多く覚えることが、奥深いワインの世界に分け入る一歩になる。
料理の色に合わせる
ワインを選ぶ際は、いつ、どこで、誰と飲むか、どんな料理と合わせるかも重要になる。
エノテカ二子玉川東急フードショー店でのワインセミナーで講師を務め、ソムリエの資格を持つ江畠由佳梨さんは「冬場のこの時期なら、しっかりめの赤ワインがお薦め。夏場なら白ワイン」と、季節によっても薦めるものは変わるという。
一般に肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインをイメージするが、江畠さんは「料理の色に合わせて選択してみては」とアドバイスする。
例えばマグロの刺し身なら赤ワイン、鶏のササミを使った料理や豚しゃぶの場合は白ワインといった具合だ。
グラスやソムリエナイフといった小道具にこだわると、ワインの楽しみが一段と広がる。
開栓するとワインは徐々に酸化が進む。飲み残した場合はボトル内の空気を抜く栓などを利用して保管するといい。変化する味の違いを楽しみつつ、なるべく早めに飲みきりたい。
(編集委員 堀威彦)
[日経プラスワン2014年1月4日付]
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