カラオケの楽しみ方多彩に ネット・アプリが進化
カラオケ機器大手のエクシング(名古屋市)が提供する「キョクプロ」は、自分で作った曲がカラオケ店で歌えるサービスだ。最近は専用ソフトなどを使って自宅で作曲を楽しむ人が増えている。作品をネット経由でカラオケに登録することができる。歌詞もパソコンから打ち込んで設定し、曲が流れるテンポも自由に決められる。自分の曲が何回歌われたかも分かるという。
「会社の同僚や同じ大学の友人とは歌の趣味が合わない」「本当はビジュアル系バンドの曲を思いっきり歌いたい」――。こんな人にお薦めなのが鉄人化計画のサービス「ohaco(オハコ)」だ。
オハコはスマホ用のアプリで、アプリの利用者はあらかじめ年齢や名前などを登録する。利用者はアプリ上で「アニメソング」など、歌いたい曲のジャンルを投稿して、同じジャンルの曲を歌いたい人の参加を呼びかける。
3人以上の参加希望者が集まり、場所と時間の希望が合えば、鉄人化計画が運営するカラオケ店「カラオケの鉄人」でカラオケを楽しめる。趣味の合う人を探せる交流サイト(SNS)の機能をカラオケに特化させたアプリといえる。
横浜市在住でオハコのサービスを経由してカラオケに参加した30代男性は「歌の趣味が合う人を簡単に見つけられるのが良い」と話していた。
目黒区に住む30代の女性も「歌の好みが合う知り合いと予定を合わせるよりも、このアプリを使えば簡単に集まって楽しめる」と話す。
歌う姿を投稿も
第一興商が提供する「DAM★とも動画」は、カラオケ店で歌う姿をインターネット上の専用サイトで友人などに公開できるサービス。同社のカラオケ機器「DAM」に付属するカメラで、利用者が歌う姿を撮影する。
公開した動画が他の人に何回再生されたかや、「ナイス!」と他の人からどれぐらい評価されたかなども分かる。
専用サイトで気に入った動画を見つけたら一緒に歌うことも可能だ。投稿された動画をカラオケ店で再生しながら自分が歌うと、2人が一緒に歌っている動画になる。
最大で6人まで一緒に歌って盛り上がることも可能だ。投稿した動画は一定の期間が過ぎると、削除されるが、無料なので何回でも投稿ができる。おすすめの動画は「今月の注目動画」としてサイトのトップページで紹介される。
コシダカホールディングスが提供する「すきっとねっと」のサービスは同社のカラオケ機器「すきっと」で歌った曲を自分のスマホやパソコンに保存できるサービスだ。料金は1曲100円だ。
一般社団法人の全国カラオケ事業者協会(東京・品川)の調べによると、2012年のカラオケの参加人口は4680万人だった。11年の4640万人と比べると微増だが、1995年の5850万人と比べると2割減少しており、カラオケ関連の企業は需要喚起に知恵を絞っている。
1人でもエンジョイ
これまでカラオケ店には複数の人数で行き、みんなが知っているような曲を歌うことが一般的な楽しみ方だった。だが若い世代は人との付き合い方も変化している。音楽の楽しみ方もインターネットの動画サイトが普及するなど、昔の世代とは様変わりだ。
最近では1人でカラオケに行く人が増えて、新しい楽しみ方として定着している。情報技術の進化によって、カラオケの楽しみ方は今後さらに多彩になっていくだろう。
(消費産業部 亀井慶一)
[日本経済新聞夕刊2013年12月26日付]
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