スマホで手軽に基礎学力UP 空き時間に反復学習
KDDI(au)が中高生向けに提供する学習サービス「GAKUMO(ガクモ)」は、短時間に効率よく学習することを目的に開発した。学習内容は1回10~15分の一問一答形式で、間違えた問題は正解するまで繰り返せる。新規ビジネス推進本部の江幡智広戦略推進部長は「通学時などの隙間時間を使って繰り返し学べる」と話す。
動画でしっかり解説
応用問題よりも基礎学力の強化に主眼を置いている。教材づくりではベネッセコーポレーションや中小の塾と連携した。料金は1コース月額980円からで、現在はKDDIのスマホなどでの利用に限られている。
手軽に動画を視聴できるスマホの特性を生かし、分からなかった問題は3~5分の動画による解説でしっかり理解できるようにした。英語の文法や数学の方程式など、回答方法を順を追って確認できる。どれくらい勉強したかや、達成度合いをグラフにして見ることも可能だ。
動画による解説は大人が見ても「なるほど」と納得できる仕上がりだ。子どもと一緒に勉強の基礎を学び直し、家庭内で勉強に関する会話が増えるきっかけにもなりそうだ。
交流サイト(SNS)などにどっぶりはまる子どもの姿をみて、スマホを勉強のツールとして使うことに抵抗感を持つ保護者は少なくない。KDDIの江幡氏は「反復学習に適しているなど、単語帳や参考書の代わりとなる新たな勉強方法としてスマホに着目してほしい」と期待を寄せる。
NTTドコモも反復学習に適したスマホ向けアプリ(応用ソフト)を「ドコモゼミ」のブランドで展開し、英単語や英会話に関連したサービスを中高生向けに用意している。幼児向けには時計の読み方や図鑑などもそろえる。ただ、ドコモの伊能美和子教育事業推進担当部長は「スマホで勉強するという行為そのものが、まだ受け入れられていない」とも感じている。
そこでドコモは11月に幼児向けに「dキッズ」という総合知育サービスを始める。子どもが端末の設定を変えられないようにしたり、利用時間を制限したりするなど、安全面に配慮した点を売りにする。スマホやタブレット(多機能携帯端末)を「勉強の道具としてなじみやすいようにする」(伊能担当部長)のが目的だ。
dキッズは月額390円で、塗り絵が動くアプリ、英語や日本語で読み聞かせができる絵本アプリなど、複数のアプリを使えるようにする。ドコモの利用者以外でも使えるようにすることも検討している。
安全面が普及のカギ
携帯電話会社だけでなく、ベンチャー企業もスマホを使った学習サービスを開発している。葵(東京・中野)が展開しているのは中学生向けにスマホを使った参加型授業映像配信サービス「アオイゼミ」だ。夕方に授業の映像をライブ配信し、利用者は映像を見ながら感想や質問をチャット形式で話しあえるのが特徴だ。
授業には無料で参加でき、有料で過去の授業内容が見放題になるプランなどを用意する。授業動画の配信は大手塾なども展開しているが、アオイゼミはリアルタイムで感想を言い合えるのがポイントだ。石井貴基社長は「仲間がいることで勉強が継続できる」と話す。
どのような学習方法が適しているかは子どもによって異なる。子どもに最適な学習法を見つけるため、スマホやタブレットの活用を検討してみるのも一つの手だろう。子どもの勉強にスマホを使わせることに対し不安を感じる保護者は多いだけに、利用状況を保護者が確認できる手段など安全面への配慮がサービス普及のカギになりそうだ。
(産業部 川名如広)
[日本経済新聞夕刊2013年10月24日付]
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