思わぬ社会的制裁も SNSで異なる公開範囲に注意
フェイスブックやツイッター、LINE(ライン)といったSNSでは簡単なメッセージのやり取りに加え、その場で撮った写真も公開できる。面白い写真が撮れたと思えば仲間に見せて、反応がほしくなる。
しかし今年夏ごろから、食品を扱う店舗でアルバイトが冷蔵庫に入って涼むなどの悪ふざけの写真をSNSに相次ぎ投稿。ネットで拡散し「不衛生だ」「アルバイトの管理がなってない」と苦情が殺到し、社会問題になった。これ以前にも店員がプライベートで来店した有名人を許可なく撮影。SNSで公開し、批判を浴びた例もある。
問題の根にあるのは社会のルールや常識を守る意識の欠如だ。「仲間内でやり取りするだけだから」と何でもやっていいわけではない。軽はずみな気持ちで投稿すると仕事先を解雇されたり、書類送検されたりするなどの社会的な制裁を受けかねない。
SNSの情報や写真は仲間だけが見るとは限らない。設定ミスで公開範囲を限定していなかったり、投稿先がだれでも閲覧できるSNSだったりして仲間以外の多くの人の目に触れ、思わぬ問題を引き起こすこともある。
SNSで発信した情報は仲間内を越えてどこまで届くのか。利用するサービスごとに特徴があるので確認しておこう。
実名を基本に利用するフェイスブックでは設定を間違わなければ、特定の友人だけにメッセージや写真を公開することができる。設定にミスがないかどうか確認することが必要だ。発信した情報は削除できるので「この発言はいけなかった」と気付いたら、その時点で削除しよう。
ツイッターは実名で使っている人が少なく、よく発言をやり取りする相手でも実際はどんな人か分からないことがある。公開した情報も基本的に誰でも閲覧可能だ。
不用意な発言や不適切な写真は公開しないよう注意したい。ツイッターも発言が削除できる。友人がまずい内容の投稿をしていたら、本人だけに伝わる直接メッセージやメールを使って知らせ、削除を促すのもいいだろう。
ラインの場合は友人や知人をグループ分けして、各グループ内でメッセージのやりとりや写真の公開をする。発信した情報は基本的にグループ内にとどまる。
使いやすいようだが、グループを勘違いして発言すると問題になりかねない。あるグループでは反応がなくても別のグループでは批判を招くこともあり得る。ラインは現時点で、発言は削除できない仕組みなので情報を発信する前に誰がグループにいるか確認しておくことが大切だ。
SNSは一種の依存症になりやすいことにも注意が必要だ。友人とおしゃべりしている感覚で長時間にわたってメッセージを交換する人も多い。特にラインはメッセージを読んだかどうか分かるため、応答しないと「無視している」と相手に思われないか不安な気持ちになりやすいが時間のけじめはつけたい。
外出先で歩行中にスマホでSNSを利用する「歩きスマホ」は危険だ。駅のホームから落ちたり、人にぶつかったりするなど事故につながることがある。電車内や飲食店で座ってSNSを使うのは構わないが、メッセージ到着の通知音を大きく鳴らすのは周囲の迷惑になりかねない。
SNSを利用していると仲間内にいるような錯覚に陥りがちだが、社会のなかで使っていることに変わりはない。節度と配慮が重要だ。
(テクニカルライター 佐藤 信正)
[日経プラスワン2013年10月19日付]
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