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大学の専攻に原因? 女性管理職、日本はなぜ少ない

2013/7/2 日本経済新聞 プラスワン

 「日本はなぜ女性管理職が少ないの」。就職が決まった女子大生が事務所を訪れた。「職場や就職での男女差別を禁じる法律ができて30年近くたつのに、もっと多くてもいいはずね」。所長夫人の円子は、探偵、深津明日香に調査を命じた。

 安倍晋三政権は「成長戦略」に、女性の役員や管理職への登用拡大を盛り込んだ。「経済成長とどう結びつくのかしら」。明日香は昨年秋に話題になった国際通貨基金(IMF)のリポート「女性は日本を救えるか?」の筆者の一人で、現在は国連食糧農業機関(FAO)のエコノミストである中根誠人さん(37)に聞いた。

■離職が多く昇進候補も減少

 「少子高齢化が進むなかで日本の労働力は減っていきます。長期的な成長力を維持するには女性の力をもっと生かす必要があるのです」と中根さんは指摘した。

 日本の女性の労働参加率は先進国では低く、管理職に占める割合も1割と、欧米の3~4割を大幅に下回る。中根さんらの試算では、労働参加率を2010年の63%から、30年に70%まで引き上げれば、1人当たり国内総生産(GDP)を何もしなかった場合より4%増やせるという。

 明日香は、経済産業省と共同で、女性登用を積極的に進めている上場企業17社を「なでしこ銘柄」に選んだ東京証券取引所を訪ねた。日本取引所グループ調査グループ長の松尾琢己さん(44)は、「女性管理職の伸びなどを数値化し、業種ごとに選びました」と説明した。

 欧米の投資家は銘柄選びの際に人材活用の多様性を考慮する傾向がある。男性ばかりなど構成が偏ると、環境変化への対応が遅れるとの見方があるためだ。「上場企業には女性役員の有無などを投資家向け報告書に記載するよう勧めています」という。

 「企業も女性の活躍を求めているはずなのに、どうして登用が進まないのかしら」。明日香は経済同友会の副代表幹事でG&Sグローバル・アドバイザーズ社長の橘・フクシマ・咲江さんを訪ねた。「企業や国のマインドセット(考え方)を根本的に変える必要があります」とフクシマさん。女性支援策に注目が集まりがちだが、「例えば“男性が育児をする権利”をもっと尊重すべきです」という。

 厚生労働省の調査では、総合職で入社した女性も、10年後には65%が辞めていた。男性の29%よりもずっと多い。明日香は「妻が育児休暇をとりやすくても、夫が会社に縛られていては、子育てを分担できず働き続けられませんね」とうなずいた。

 オランダでは、男女とも短時間勤務をしやすい制度を整えたことで、男性の育児参加や女性の登用が進み、経済停滞からも抜け出せたという。フクシマさんは「“女性支援”ではなく“男女支援”が重要です」と強調した。

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