女性に人気 「背景ぼけた写真」上手に撮るコツ
デジタル一眼でこだわりの一枚
動くものなら一眼レフ、動かないものはミラーレス
「手前の花をぼけさせても面白いですよ。試してみてください」
6月上旬、東京都調布市にある神代植物公園。バラの花壇の前でミラーレスを構える女性12人に、プロカメラマンの金森玲奈さんが助言する。オリンパスの女性向け写真教室「フォトルージュ」の一場面。教室は講師も生徒も全員女性だ。
カメラを楽しむ女性は増えている。調査会社GfKによると、5月の一眼レフの販売数は前年同月比83%も増加、ミラーレスは同16%増えた。ビックカメラ有楽町店の檜山徹さんは「夫婦やカップルを含めれば、ミラーレス購入者の6割が女性」と話す。
スマホの影響でコンパクトデジタルカメラの販売は減っている。半面、一眼レフやミラーレスはレンズが交換できるため、スマホよりも本格的な写真を撮れるのが魅力。「思い出をきれいに残したい」「日々の出来事をSNS(交流サイト)にアップしたい」というニーズがあるようだ。
これからカメラを購入する場合は、撮りたい被写体に合わせて機種を選ぶといい。「動くもの、例えば子どもやペットを撮るなら一眼レフが便利」(檜山さん)。ミラーレスは撮影画像を液晶に表示するため、動くものや屋外では見にくいことがある。一方、料理やアクセサリーなど「動かないもの」を主に撮る人はコンパクトなミラーレスのほうが扱いやすい。
簡単な撮影術として最近、女性に人気なのが「背景がぼけた写真です」と、金森さんと檜山さんは声をそろえる。背景をぼかすことで、ペットや料理などの被写体を浮き立たせ、印象的で美しい1枚になる。オリンパスのカメラ教室に参加した日野満里子さんも「愛犬に焦点を当てた写真が撮りたくて、カメラを購入しました」とほほ笑む。
ブログ写真 角度が命
背景のぼけた写真は「被写界深度」と呼ばれる焦点の合っている部分が小さい。被写体以外は焦点が合っていないので、ぼやけて見える。被写界深度はカメラの「絞り値」で調節できる。「絞り優先モード」にして絞り値を小さく設定すれば被写界深度は浅くなり「きれいなぼけ味を出せる」(金森さん)という。
撮影場所も重要だ。被写体の背景に奥行きがある場所を選ぶといい。さらに被写体と背景の距離が離れているほど、きれいにぼける。例えば人物を撮るとき、本棚のすぐ前に立つと背景はあまりぼけないが、離れて立つほど大きくぼける。
美しく印象的な写真をSNSやブログで公開するための簡単な撮影術も、覚えておくと便利だ。
写真に変化をつけるには「いつもと視点を変えることが大切です」と金森さんは助言する。
撮影時は立っている高さにカメラを構え、少し見下ろす形で被写体と向き合うことが多い。これでは誰もが見慣れた写真しか撮れない。そこで見る角度を変えてみる。
例えば花を撮るときは、しゃがみ込んで、下から見上げる。すると思いがけない花の表情が見つかる。花に限らず「自分だけの視点で撮影した1枚は、見る人にも新しい発見を与えてくれるはずです」(金森さん)。
レストランなどでは、写す範囲を変えてみるといい。料理全体がバランスよく収まるように撮影するほか、料理の一部を大胆に切り取る、反対にテーブルの雰囲気までわかるように広げてみると印象は大きく変わる。
撮った写真をSNSにアップする方法は、パソコンに画像を取り込んで操作するのが一般的。最近はカメラから直接、スマホへ画像を転送できる製品もある。
注意したいのは、意図しないものが写ってしまうケースだ。例えば自宅のベランダで撮影した写真を公開すると、風景から家の場所がわかってしまうことがある。高性能なカメラは細部までしっかり写る。
(編集委員 大谷真幸)
[日経プラスワン2013年6月22日付]
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