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千葉・館山 地魚ずし 春を感じる、海辺の湯

2013/3/19 日本経済新聞 プラスワン

 東京湾を隔て、首都圏からほど近い房総半島。温暖な気候から、冬から春にかけ花摘みやイチゴ狩りに訪れる人も多い。半島の先端に位置する館山市は、数十軒ものすし屋がある「鮨(すし)の町」。南房総であがった地魚を使った「地魚ずし」がうまいと聞き、春の館山を訪れた。

地魚セットのすし(寿し甚)

 東京駅から東京湾アクアラインを通る高速バスで、約2時間で館山に着く。駅からほど近くに店を構える「寿し甚」ののれんをくぐる。威勢のいい「いらっしゃい」の声に迎えられ、カウンターへ。一番人気の「地魚寿し」のほかに、「江戸前寿し」「田舎寿し」と様々なメニューがある。目移りするが、やはりここは地魚を選ぶ。昼からすしとは気分がいい。

 季節や日によってネタは変わるというが、この日はアジ、キンメ、マダイ、ホウボウ、アナゴなど全部で10。どれも切り身が大きく、身が厚い。アジの歯ごたえはしっかりとして、さすが地元だ。アナゴは香ばしく、キンメは口のなかでとろけていく。3代目の能重元重さんに聞くと「江戸前はマグロやエビを使った一般的なすしで、『田舎寿し』というのは、昔、農家や漁師がお腹いっぱいになるようにと作った、シャリやネタが大きめの江戸前」とのこと。次回は、田舎寿しにも挑戦してみたい。

 今日の宿は、民宿の「お宿やまもと」。房総エリアは民宿の宝庫で、新鮮な魚介をいただけるということもありなじみ客も多い。しかも湯は温泉だ。

沖ノ島を望む

 まだ、湯上がりのビールと夕食には少し早い。暖かな日和に誘われて、宿に荷を置き、散歩に出かけることにした。行き先は「沖ノ島」。海上自衛隊館山航空基地の裏手に位置し、陸とは砂浜でつながった無人島で、北限域のサンゴを育む自然が残っている。砂浜を進み、森を抜けると、白い貝殻が一面に打ち寄せられた海岸に出る。海岸では、家族連れや小学生が貝殻拾いをしている。南の海に生息するタカラガイなど珍しい貝も多いという。貴重な自然の宝庫だ。

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