アート風・漫画風… おもしろ写真編集アプリ人気
子どもやペット、風景などスマートフォン(スマホ)で撮った写真がアートになったり、漫画になったり――。デジタル画像を簡単な操作で個性的な作品に早変わりさせることができるおもしろ写真編集アプリに人気が集まっている。SNS(交流サイト)の普及で写真を友人や家族と共有する機会が増えており、手軽にひと味違う写真にできる点が受けているようだ。
「味気ない写真が、一気にアート作品のようにできるので楽しい」
川崎市在住の主婦、宮下美恵さん(33)が最近はまっているのが、写真加工アプリの「Cameran」(リクルート)だ。写真家で映画監督の蜷川実花さんが監修。色とりどりのフレームに当てはめたり、色あせた感じにしたりできる。
2012年10月に提供開始して以来、女性を中心に口コミで利用が広がり、ダウンロード数は2月中旬時点で累計250万件に達した。iPhone(アイフォーン)とアンドロイド端末に対応し、ダウンロードは無料だ。
フレーム鮮やか
同アプリを開発したリクルート・メディアテクノロジーラボの大城哲也さんは人気の秘密を「飽きが来ないよう頻繁に新しいフレームを追加している」点にあると説明する。蜷川さんの作品は鮮やかな色使いで人気が高い。自分で撮影した写真を簡単に花や光に彩られたアート風写真にできるのも利用が急拡大したポイントだという。
アプリを起動し、好みのフレームや色合いを選んだ状態で撮影すれば、独自の世界観の写真がその場でできあがる。スマホに保存した写真も加工できる。宮下さんは1歳の子どもや愛犬、食卓風景などをスマホやデジタルカメラで撮影し、一度保存してから編集してフェイスブックに投稿している。
背景にあるのが、フェイスブックやツイッター、ミクシィなどのSNSの普及だ。投稿する写真を少しでも自分らしく編集したいという需要が拡大している。こうしたニーズをにらみ、CameranはSNSに投稿できる機能を備えた。
Cameranと同様、SNSで急速に人気が広がった写真編集アプリがスーパーソフトウエア(東京・渋谷)の「漫画カメラ」だ。写真を吹き出しやコメント付きの漫画調に加工できる。ダウンロードは無料。ダウンロード数は530万を超えるという。
普通に撮った写真も、思わず笑いが出るようなおもしろ写真に加工できる点が人気。利用者は男性の方が若干多いといい、「飲み会や家族との集まり、学校の休み時間など、人が集まる場で利用するユーザーが多いようだ」(東京オフィス代表の舩木俊介氏)という。
雰囲気ある仕上がり
プリントシールのような落書き機能で人気なのは「楽画cute」だ。プリントシールの機械を製造する辰巳電子工業(奈良県橿原市)が開発した。ペンやスタンプ、画像などで写真に書き込んだり、切り抜きやコラージュをしたりできる。対応するのは現在iPhoneのみで、ダウンロードは無料だ。近く、フェイスブックやミクシィにアプリから直接、画像を投稿す機能を盛り込む予定だ。
川柳や詩などを載せて雰囲気のある写真にできるのは、KT&Ideaquest(神奈川県鎌倉市)の「フォト一句」だ。レイアウト次第で、写真がポスターやはがきのような作品に生まれ変わる。
試しに筆者の愛犬の写真を各アプリで加工・編集してみた。同じ写真もそれぞれの味わいが出て、まったく別の写真のようにさえ見える。
ここで紹介したもの以外にも写真編集アプリはたくさん出ている。SNSなどで写真を友人や家族と共有する機会は多い。日常に彩りを添えるためにも、写真の良さを引き立たせられるお気に入りの写真編集アプリを探してみてはいかがだろう。
(電子報道部 岡田真知子)
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