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その症状、男性更年期かも ストレスでホルモン急減

2013/2/21 日本経済新聞 夕刊

 中高年になって気分の変調や脂肪の増加、性欲の減退を感じる――。程度の差はあれ、身に覚えのある男性は多いはず。加齢に伴う現象として放置しがちだが、ストレスなどが原因で男性ホルモンが急激に減る更年期障害の可能性もある。女性と比べ症状が長期にわたって続くのが特徴だ。ここ数年、国内で臨床研究が進み、治療法の確立に向けた動きも本格化している。
患者から睡眠や生活の状況、体調などを聞く聖路加国際病院の松下医師

 東京都内の外資系メーカーに勤める男性(51)は昨年末、聖路加国際病院(東京・中央)の泌尿器科にあるメンズヘルス外来を受診した。「2~3年前から仕事でひどく疲れるようになった。性欲も落ちて悩んでいた」という。

 血液検査の結果、男性ホルモンの一種、テストステロンが低下していることが判明。ホルモン補充療法を始めたところ、症状が改善した。男性は「やる気が回復して驚いた」と話す。

患者は推計600万人

 この男性のようにテストステロンの低下による心身の不調は「男性の更年期障害」と呼ばれる。主な症状は倦怠(けんたい)感や気分の変調、睡眠障害、性欲の低下など。筋肉の低下や内臓脂肪の増加、骨粗しょう症などの原因となることもある。国内の患者は推計600万人とされる。

 同病院がメンズヘルス外来を開設したのは2012年9月。男性の更年期障害などを専門に診療しており、50代を中心に、週に10人程度が来院している。松下一仁医師は「性欲が低下している人で性機能改善薬を内服してもあまり効果がない場合、テストステロンが低下していることが多い」と指摘する。

 女性の更年期障害は広く知られており、適切な治療ができる医療機関は多い。男性についても約10年前から注目されるようになったが、認知度はまだ高くない上、男女の違いはあまり知られていない。

 女性の場合、閉経前後に女性ホルモンが減って症状が出る。ただ一定期間が過ぎると、元もと女性の体内でも分泌されていた男性ホルモンの割合が高まり、改善する。これに対し、男性はストレスや動脈硬化が原因で発症し、長期間続く。うつ病などの精神疾患との見分けも難しい。

 客観的な診断基準を求める声が高まったことを受け、日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会は07年に「診療の手引き」を公表。女性の更年期障害との混同を防ぐため、病態を的確に表現した「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」という名称を提唱した。

 手引きの作成に関わった帝京大病院(東京・板橋)の堀江重郎教授によると、主な原因は2つある。(1)動脈硬化により精巣への血流が悪化する(2)慢性的なストレスで男性ホルモンをつくる指令が働かなくなる――で、高齢者は(1)、中高年は(2)であることが多いという。

 テストステロンが著しく低下している患者にはホルモン補充療法が取られる。国内では注射を使うのが一般的だ。頻度は2~4週間に1回。3カ月で症状が改善するケースが多いという。注射は1回1000円ほどで保険が適用される。

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