ライフコラム

エコノ探偵団

エネルギー新発見続々 日本は資源大国になれるの?

2013/1/8 日本経済新聞 プラスワン

 「国内でエネルギーや鉱物の発見、研究が相次いでいる。『資源大国』になれるかも」。神田のご隠居、古石鉄之介が新年のあいさつに訪れた事務所の面々に語った。探偵、深津明日香は首をかしげた。「初夢みたいな話。背景を探らないと」

■藻から「石油」

藻類から抽出した石油系油のビン (IHIなど3社の川崎市の研究室)

 川崎市のビルの一室にある研究室に緑色の液体を満たした容器が並ぶ。培養しているのは「榎本藻」という藻類。光合成をする水生生物の一種だ。IHI新事業推進部の成清勉さん(52)が明日香の前で黒い乾燥藻に点火した。すすっぽい煙が立ち上った。「こうした藻類は石油とよく似た油を作り出すのです」

 IHIは2011年夏から国内2社と共同研究。13年度にも抽出した“試作油”を石油や化学の会社に提供、用途を探ってもらう。

 JX日鉱日石エネルギーなど3社はミドリムシがつくる油の実用化に取り組んでいる。目標はジェット燃料。飛行機が二酸化炭素(CO2)を出す一方、ミドリムシは光合成でCO2を吸収するので、結果的に排出量を抑えられる。20年度の技術完成を目指す。

 「藻類は東日本大震災からの復興にも役立つと聞いたわ」。仙台市を訪れた明日香は津波で破壊された下水処理場で、残ったビルから復旧工事の様子をながめた。同市職員の柳津英敬さん(44)が強調した。「将来、下水の有機物を取り入れて石油系油をつくる従属栄養藻類と呼ばれる生物などを育てる考えです」

 明日香は納得した。「大きな狙いは環境対策ね」

■周辺の海域、豊富に埋蔵

 12年には、日本が経済権益を持つ周辺の排他的経済水域(EEZ)で新たな海底資源の発見が相次いだ。

 東京大教授の加藤泰浩さん(51)らは12年6月、日本最東端の南鳥島沖の深海に大量のレアアース(希土類)を含む泥が堆積していると公表した。埋蔵量は国内消費量の少なくとも約230年分と推定する。

 沖縄県の久米島沖の深海底では独立行政法人、産業技術総合研究所の調査船が、マグマに暖められた熱水などが吹き出す地域をみつけた。レアメタル(希少金属)が存在する可能性もある。魚群探知機で“変わったカゲ”を見つけ、性能が向上する音響測深機という装置で精査した。担当の池原研さん(52)は「発見は技術革新の成果です」と解説した。

ライフコラム