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温泉食紀行

熊本・日奈久温泉 晩白柚 やさしい酸味と甘さ、のんびりと路地裏巡り

2012/12/25 日本経済新聞 プラスワン

 冬至といえば柚子(ゆず)湯だが、熊本県の日奈久(ひなぐ)温泉(八代市)では、12月中旬から1月まで、柚子の代わりに八代名産の「晩白柚(ばんぺいゆ)」を旅館や共同浴場の風呂に浮かべた「晩白柚風呂」が楽しめる。晩白柚とは直径20センチを超えることも珍しくない大きなかんきつ類。世界最重量のザボンとしてギネスに登録されたものもある。

温泉街の入り口に立つからくり灯籠

 日奈久温泉は開湯600年の歴史を誇る古い温泉で、古くは細川藩の藩営の湯として栄えた。木造旅館や湯治場の風情が残り、温泉神社に上れば八代海が遠く見渡せる、のどかな温泉だ。

 温泉街に入ると、あちこちの路地から猫がお出迎え。不思議と温泉街には猫が似合う。温泉街の狭い通りの両側には、名産のちくわ屋が軒を連ねる。すり身の天ぷらを揚げるいいにおいが漂い、思わずちくわと天ぷらを購入。猫を従えながらのんびりと宿まで歩く。

 この日の宿は木造3階建ての「金波楼」。国の有形文化財にも登録される創業100年の老舗だ。磨かれた階段を上り、3階の部屋に案内される。その昔、八代海に沈む夕日に映えた金色の波が展望できたことから、宿の名がついたという。

堂々とした「ばんぺい湯」

 温泉を楽しむ前に、温泉街をもうひと歩き。ちくわ屋の連なる道を突き当たりまで進むと、共同浴場が立つ。その名も「ばんぺい湯」。地元の方が足しげく通う。そのすぐ横の祠(ほこら)には石でできた恵比須様が鎮座している。大漁と商売繁盛の神様として地元の方に守られている。路地をもう一角曲がると、また恵比須様。さらに路地裏を歩くと、目の神様に歯の神様、手足の神様までいらっしゃる。路地裏に小さな神々がたくさん祭られているのだ。

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