ライフコラム

エコノ探偵団

若者の就職難 少子化なのになぜ?

2012/12/25 日本経済新聞 プラスワン

 「少子化で若者が減っているのに、なぜ就職環境が厳しいのですか」。就活中の大学生が事務所を訪れた。入試は上の世代より競争率が低かったのに不思議だという。「若者は“貴重”なはずなのに」。探偵、深津明日香が調査に乗り出した。

■ミスマッチ解消では限界

 明日香はリクルートが主催する就職支援セミナーを訪ねた。内定のない大学4年生や既卒者に、企業向けの応募書類などの書き方などを指導している。

 「私の長所は責任感があるところです……」。リクルートスーツの若者たちが面接の練習をしていた。「しっかりしているし、すぐ内定を取れそうな人ばかりに見えるけど」

 明日香が参加者に話を聞くと、私立大4年生は「3年生の時は大学の課題で忙しく、自分が知っている大企業ばかり回っているうちに出遅れた」と焦っていた。正社員の職を探す契約社員の男性(25)も、最初の会社を辞めてから再就職に苦戦中だという。

 「意欲や能力のある人も苦労しているのね」。明日香が厚生労働省を訪ねると、若年者雇用対策室長の久知良俊二さん(43)が「学生への支援が不十分だった面があります」と説明した。高卒者は、先生などにお膳立てしてもらい地元の中小企業に就職する。ところが自力で就職先を探す大学生が増え、採用に意欲的な中小企業との間を結ぶパイプがなくなった。

 リクルートワークス研究所の調査では、2013年春卒の学生1人に対する求人数を示す求人倍率は、従業員5千人以上の企業では0.60倍と狭き門だが、300人未満の企業では3.27倍と逆に採用枠が学生を大幅に上回っている。

 そこで、学生と企業との橋渡し役として「10年に新卒向けハローワークを設け成果を上げ始めています」と久知良さん。東京新卒応援ハローワーク(東京都新宿区)を訪ねると、室長の川野辺哲夫さん(52)も「紹介できる先がなくて困ったことはありません」と言う。学生の相談役、ジョブサポーターの北山四郎さん(57)は「就活が遅れた人や自分の適性をじっくり考える機会がなかった人も、話を聞いて自己分析を手伝い、面接指導をすると大半が内定を取る」という。

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