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温泉食紀行

長野・別所温泉 マツタケ 信州の鎌倉、秋の香り 古刹点在、外湯も魅力

2012/10/2 日本経済新聞 プラスワン

 秋になるとマツタケが恋しくなる。例年、気づくとシーズンが終わっているので、今年こそはと待っていた。

北向観音を訪れる人は多い

 近年、海外産に押され気味だが、日本各地でも赤松林があるところで採れる。信州の別所温泉(上田市)周辺では、9月になると何店も「マツタケ小屋」が営業を始めるので、稲穂の黄金色とそばの白い花が美しい季節に出かけてきた。

 別所温泉は、鎌倉時代から仏教文化が栄えたことから「信州の鎌倉」と呼ばれる。国宝・八角三重塔のある安楽寺や、厄よけ観音として全国から参拝者を集める北向(きたむき)観音、その本坊である常楽寺などの名刹に囲まれ、歴史散歩にはもってこいの温泉地だ。宿の「臨泉楼(りんせんろう)柏屋別荘」に荷を置き、温泉街をひとめぐりする。

モダンなタイル張りの貸し切り風呂

 温泉地には4つの共同浴場があり、そのひとつの「大師湯」脇から北向観音へ参道が延びている。北向観音は、長野市の善光寺と向き合うように北を向き、善光寺と併せてお参りすると、よりご利益があるとされる。清めの御手水は何と温泉だ。境内には、小説の題材にもなった「愛染かつら」が大きな枝を伸ばしている。

 温泉街を1時間ほど散策し、宿に戻る。立派な木造4階建てだ。明治期に造り酒屋を譲り受け、宿を始めたという。

 男女別浴場・露天風呂のほかに、モダンなタイル張りなどの貸し切り風呂(有料)が3つある。浴槽に足をつけると少々熱い。まずはゆっくり半身浴。薄っすらと硫黄の香りのするよい湯だ。肩までつかると、湯の中で無数の湯の花が舞っているのが見える。湯上がりは、肌が引き締まる感じがした。外湯めぐりもきっと楽しいことだろう。

 秋は一年で一番のかき入れ時という。その理由は、やはりマツタケ料理。柏屋別荘では10月から提供を始めるそうだ。

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