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療養中の子供、ネットで授業 学校の勉強遅れたくない 孤独和らげ復帰しやすく

2012/7/20 日本経済新聞 夕刊

 長期間にわたり入院や自宅療養を続ける子供たちが勉強に遅れないよう、インターネットを使って支援する取り組みが広がっている。テレビ会議システムやパソコンを活用して病室や自宅と学校を結び、勉強を教える。離れた場所にいる子供同士が画面上で一堂に会して交流することで、孤独感を解消し、学校生活にスムーズに戻れるようにする狙いもある。
「ネットでeクラス」を利用して英語の授業を受ける面林孝太郎さん(大阪府豊中市)

 「この英文を日本語に訳してくれるかな?」。7月上旬、大阪府豊中市の自宅でパソコンに向かう私立高校1年の面林孝太郎さん(16)に、同府茨木市の事務所にいる男性講師がスピーカーを通して語りかけた。パソコンには小型カメラが付いており、お互いの顔が画面の左上に映る。右半分には英文が並ぶ。

「交流できる場に」

 テレビ会議システムを使ったこの授業「ネットでeクラス」は特定非営利活動法人(NPO法人)「エスビューロー」(兵庫県芦屋市)が小児がん患者に無料で提供している。面林さんは昨年9月、骨肉腫のため大阪大病院(同府吹田市)に入院。病状が回復した今年6月に退院し、高校復帰と同時に利用を始めた。

 「入院中に体力が落ち、塾に行くのは大変。家で授業を受けられる点がいい」と面林さん。英語、数学、古典の勉強の遅れを取り戻すため、週3回ほど画面に向かう。母の理恵さん(42)は「後遺症など病気についても相談できるので心強い」と話す。

 同法人は小児がんで長男を亡くした安道照子代表(50)が同じ境遇の母親や、医師らとの交流を深めようと2000年に設立した。小児がんの治癒率が上がる中、退院した子供の家族から「学校の勉強についていけない」との相談が増加。09年、テレビ会議を使った学習支援を始めた。

 現在、東京都や愛知県、大阪府などで入院中や退院後の子供10人以上が利用する。複数の生徒が画面で近況を報告し合う「ホームルーム」も月2回開催。安道代表は「入院中で周囲に仲間がいなかったり、退院後も後遺症などで悩んだりする子供たちが交流できる場になれば」と話す。

 インターネットを使って遠隔地の教室を結ぶ試みは全国で広がりつつある。入院中の子供が通う群馬県立赤城養護学校(前橋市)は09年度、県内6市の病院に隣接もしくは院内にある8つの分校・分教室を同時中継でつなぐテレビ会議を導入した。

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