贈り物にしたいカステラ
何でもランキング
長崎が上位、独自に進化
子どもからお年寄りまで、素朴な味わいが幅広く喜ばれるカステラ。贈答品として買うなら、どんなものがいいだろうか。通信販売で買える3000円以内の商品を集め、試食のほか、包みや箱のデザインも評価ポイントに入れて専門家に選んでもらった。
カステラは16世紀、鉄砲やキリスト教とともにスペイン人やポルトガル人が日本に伝えた。卵や小麦粉、砂糖を使って固く焼いたスペインの「ビスコチョ」などが原型とされ、スペインのカスティーリャ王国で作られた菓子として「カステラ」と呼ばれたという。
ランキングでは1位と2位を含め4つの長崎県の店が選ばれた。鎖国をしていた江戸時代、海外貿易の窓口だったのが長崎の出島だ。長崎の和菓子職人は輸入ができた砂糖をたっぷり使い、水あめも加え、卵の分量や混ぜ方、そして焼き方まで追求してしっとりとした日本独自のカステラを作り上げた。
1位の「フクサヤ キューブ」(福砂屋)は老舗の味を守りつつ、食べやすさと明るいパッケージを打ち出した。カラフルな箱を開ければ専用フォークでパクッと食べられる手軽さは贈られた人に喜ばれそう。5個入り1386円という手ごろな価格も評価された。
2位の松翁軒や3位の銀座文明堂などの商品や製法の説明には、「五三(ごさん)」という呼び名が使われている。これは昔、通常より卵黄と砂糖を多く配合し、極上品とされたカステラのこと。卵黄と卵白の配合が5対3だったことなどが由来とされ、各店とも材料の配合に工夫を凝らし、より上質なカステラに仕上げている。
4位の金澤烏鶏庵、6位のセラ・ルージュのカステラは卵そのものにこだわった。飼料や育て方に気を配って生産した卵を使い、生地の色は濃厚。一見、同じように見えるカステラも、比べてみると色や味わいから作り手の個性が伝わる。
オーブンで焼くとラスクに変身
封を開けて切った後のカステラは、密閉の保存をして2~3日中に食べきりたい。
目先を変えるならラスクなどにアレンジしてもいい。1センチ角の棒状に切り、140度に予熱したオーブンで約12分焼き、冷ませばカステララスクに。「黒蜜を塗り、きな粉や抹茶を振ってから焼いてもおいしい」と山崎彩さん。多田千香子さんは「乾燥しきってしまったら」とティラミス風カップデザートを勧める。カステラを一口大に切り濃いコーヒーに浸してからカップに入れ、ハチミツを混ぜたマスカルポーネチーズを乗せて、ココアをふると出来上がり。
調査の方法 通信販売で買える3000円以内のカステラの中から、和洋菓子に詳しい複数の専門家らが推薦する33品を選出。供給体制などを確認し、うち20品を試食してもらった。選者らがつけた「自分がもらってうれしい順位」に味、見た目、コストパフォーマンスの5段階評価を加味して総合順位を決めた(敬称略、五十音順)。
aiko*(お取り寄せ生活研究家)▽下井美奈子(スイーツコーディネーター)▽瀬戸理恵子(フードライター)▽多田千香子(「おやつ新報」主宰)▽中尾隆之(旅行作家)▽西祐子(「デパチカドットコム」主宰)▽肱岡香子(フードスタイリスト)▽宮澤やすみ(「東京社用の手みやげ」著者)▽山崎彩(和菓子研究家)▽山本諭(菓子ジャーナリスト)
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