スマホかざすと山や名所の名前 アプリで街歩き楽しく
スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)のカメラをかざすと、そこにある山や史跡、観光スポットの名前が画面に表示される――。そんなアプリが続々登場している。手軽に情報が手に入れば、街歩きがますます楽しくなりそうだ。
風景映像の中に表示
「あの山は何だろう、と思ったとき、すぐに分かるので面白い」。登山好きの横浜市の会社員、秋田潤さんは、アンドロイドのアプリ「山カメラ。」を愛用している。
アプリを起動してスマホのカメラを山に向けると、画面には目の前の風景映像が映し出され、その山の名前が漫画の吹き出しのような形で現れる。設定すれば100キロメートル先まで表示できるので、富士山など遠い山でも大体の方角が分かる。逆に近くに山が多くて画面上で名前が重なる場合は「近い山だけ表示することもできる」(秋田さん)。
「山カメラ。」を開発したティーウェイブ(横浜市)の広瀬孝親社長によると、現在、全国にある有名な山300カ所のほか、首都圏中心にスカイツリーや著名なビルの名前も表示できる。全地球測位システム(GPS)とスマホのコンパス(方位磁針)機能を使っているため、あらかじめアプリを起動しておけば、電波が届かない場所でも使える。累計のダウンロード数は5万件を超えたという。
有名ではないけど、近くにあるあの山の名前を知りたい――。そんな要望に応えるアプリもある。iPhone(アイフォーン)に対応するアプリ「AR山」だ。
このアプリの有料版で見られる山情報は2万件弱。「日本の山を網羅している」(開発者の滝本英毅さん)という。表示する山の数は距離で選別できるほか、名山に絞る機能もある。
「標高が4.53メートルで日本一低いとされる大阪・天保山に向けてアプリを起動したら表示された」「東京ディズニーランドで使ってみたら『ビッグサンダーマウンテン』が出てきた」――。遊び心満載のアプリは使い方次第で新しい発見がありそうだ。
観光案内にも活用
スマホの内蔵カメラが映し出す現実の風景に山の名前などを重ねて表示する仕組みは「AR(拡張現実)」と呼ばれ、急速に広がっている。商店街などで店舗と連携したり、観光客向けに情報を提供したりと利用は様々だ。
東京都商店街振興組合連合会が情報を提供するアプリ「大江戸名所めぐり」は、浮世絵師の歌川広重が描いた場所や歴史的な名所、浅草・深川・日本橋の七福神がある場所をスマホ上に表示する。全120スポットのうち、現在地から近い40スポットが表示できるという。
昨年11月に実施したイベントで使った期間限定のアプリだが、「10月までは見ることができる」(舟めぐりまち歩き事務局)。アプリ自体は同会が作成したものではなく、「ジュナイオ」というアプリを使う。
観光情報を登録したARアプリは全国各地に広がっている。岐阜県関ケ原町では観光情報に加え、トイレやコンビニなどの位置情報も表示する「関ケ原観光navi」を4月から公開。鳥取県は県のキャラクターが観光地を案内する「鳥取AiRMap」を提供している。
これらのアプリはスマホのコンパス機能を使っているが、「場所によっては精度が悪く、位置がずれてしまうことがある」(ティーウェイブの広瀬社長)。そんなときはスマホを左右に振るなど、位置を計測し直す必要がある。GPSの位置情報を使うことにも注意が必要だ。発展途上のアプリだが、賢く使いこなしたい。
(電子報道部 河尻定)
[日本経済新聞夕刊2012年4月26日付]
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