ライフコラム

エコノ探偵団

今年はベビーラッシュ? 震災で実感「独りは怖い」 エコノ探偵団

2012/2/5 日本経済新聞 プラスワン

 「街で妊婦さんをよく見かけます。今年はちょっとしたベビーラッシュになるんですかね」。近所の主婦の話に、探偵の深津明日香が身を乗り出した。「東日本大震災で人との絆が見直されたそうだけれど、出産につながっているのかしら」

 震災後の妊娠や出産の状況を調べた統計はまだない。「そういえば妊婦向けの雑誌があるわね」。明日香がリクルートに問い合わせると、雑誌『妊すぐ』の実売部数は昨年3月以降、前年よりも24%増えたとの答え。編集長の佐々木寛子さん(36)は「芸能人の妊娠・出産が昨年多かったことが影響しているかもしれません」と推測する。

 妊娠しやすい体づくりなどの情報を発信する「妊活・net」へのアクセスも増えていた。月間で数千回だった閲覧数が昨年7月には3万5000回超に。運営する医薬品会社、メルクセローノ(東京都品川区)は「最近は子どもを欲しいと強く思う人が多くなったように感じます」という。

■入籍早める

母親学級で育児について保健師や助産師に教わる(東京都文京区)

 「出産を控えた女性の声も拾ってみよう」。東京都文京区の母親学級を訪ねると、この日は満席。小中あゆみさん(32)は「地震で一人は怖いと実感しました。先でいいと思っていた入籍を5月に早めると、すぐ子どもができました」とほほ笑む。結婚を前倒しし、妊娠したと打ち明ける女性は他にもたくさんいた。

 「震災で結婚や出産に変化が出てそうね」。家族の現状に詳しい中央大学教授、山田昌弘さん(54)に聞くと、山田さんは首を振った。「結婚についていうと、予定を早めた人はいるかもしれませんが通年では増えませんでした」

 厚生労働省によれば、2011年の婚姻件数は推計で67万件と戦後最少。派遣社員やフリーターなど非正規社員を中心に未婚率は上昇している。「生活に不安があると、結婚に至らないことが多い。現在の経済や雇用環境では難しいですよね」

ライフコラム