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エコノ探偵団

20~30代で顕著 若者のスポーツ離れ、なぜ進む?

2012/12/4 日本経済新聞 プラスワン

 「若者がスポーツをしなくなったそうだ」。近所のご隠居の話に、探偵、松田章司が関心を示した。「確かに自分も最近、あまりスポーツをしてないな。調べてみよう」。事務所から勢いよく飛び出した。

■手軽な場所、仲間足りず

 総務省を訪ねると「特に20~30歳代でスポーツ離れが進んでいます」と、三神均さん(51)が説明してくれた。同省は昨年10月、過去1年間にスポーツをしたかどうかを約20万人を対象に調べた。15歳以上でスポーツをした人の割合は61.6%で1986年の調査に比べ14.7ポイントも下がった。年齢別では20~30代の落ち込みが目立ち、60歳以上の割合は逆に高まっていた。「ゲーム機器が普及するなど娯楽が多様化し、若者はスポーツに関心が向かなくなっているようです」

 納得できない様子の章司に、元実業団サッカー選手で、地域スポーツの振興を目指す特定非営利活動法人(NPO法人)「横浜スポーツ&カルチャークラブ」理事長の吉野次郎さん(47)が、小学校の体育の授業を受け持った体験を語ってくれた。「汗をかくのを嫌がる子どもが多くて驚きました。スポーツにはチーム内での協調や、競争社会の厳しさなどを学べる良さがあります。競争をさせたがらない学校教育にも問題があります」と心配する。

 「スポーツ嫌いの子どもたちは、きっと大人になってもやらないだろうな」と表情を曇らせた章司。友人の紹介で「スポーツ好き」の若者たちに話を聞いた。住友生命保険の斎藤宏則さん(28)が所属する会社のテニス部は30人弱のうち20代が約8割を占め、東京都の実業団リーグの大会にも出場。「一緒に楽しめる仲間の存在が大きいです」

 大山愛友さん(32)が熱中しているのはアルティメット。フライングディスク(通称フリスビー)を使う競技だ。社会人のクラブチームに所属し、休日の土日は早朝から日暮れまで練習する。7月の世界選手権の日本代表にも選ばれ、金メダルを獲得した。

 スポーツ好きの若者からよく出てくる言葉は「仲間」。陸上ホッケーの社会人チームに属する野村征司さん(28)も仲間とのつながりを大切にする。しかし、スポーツをする若者は全体では減っているようだ。

 「スポーツをしない人に無理に声をかけても強制ととられてしまい、腰が引けてしまうようです」と野村さん。大山さんも「緩やかな人間関係を望む若者が多く、人のつながりが強いチームになかなか人が集まらないのでは」とみる。

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