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新潟・佐渡市 トレッキングで原生林体験

2011/10/1 日本経済新聞 夕刊

 日本海に浮かぶ佐渡島に杉の巨木が群生する原生林がある、と知人から聞いた。縄文杉など世界遺産に登録された鹿児島県屋久島の古代杉群にも負けない見事さという。早速、知られざる杉巨木群に出合う旅に出た。

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洞爺湖サミットでも注目された金剛杉。樹齢500年超とされる

 新潟県佐渡市に杉巨木群が存在する事実が脚光を浴びたのはつい4年前だ。世界的な写真家、天野尚氏が2007年、佐渡原生林の写真集を発表、関係者の目に留まり、翌年の洞爺湖サミットの晩さん会場に同氏の撮影した巨木杉の特大写真が飾られた。以来、「どこに行ったらこの巨木杉を見られるのか」という問い合わせが新潟県に殺到した。

 原生林は大佐渡山脈の山毛欅ガ平山(ぶながひらやま)山麓の新潟大学演習林とその周辺にある。無秩序な入山者を防ぐ狙いから、県や佐渡観光協会は年間2000人までというトレッキングツアーを制度化。現在までに内海府側から登る内海府ルート、外海府側から登る外海府ルート、やはり外海府側から登る比較的容易な千手杉ルートの3ルートを整備した。

 観光協会の専門ツアーガイド、斎藤浩二さん(58)の案内で、色とりどりの山野草が楽しめるという内海府ルートに挑戦した。早朝、両津港を起点に車で北上、北松ケ崎から山中の林道を走る。出発から約30分、そこからトレッキングを開始、すぐに江戸時代の作とみられる馬頭観音の石仏が現れた。狭い登山道にもかかわらず、石仏が残っているのは、昭和初期まで外海府と内海府を結ぶ生活道路だった証拠だという。

 登山道周辺には鮮やかな紫色のヤマトリカブトが至る所に。ピンクのオオミスミソウや紫のエゾアジサイなどの植物も多く群生、春から夏にかけて花の美しさはいかばかりかと想像する。演習林は約500ヘクタールと他地域に比べ小規模だが、希少動植物は500種類以上と豊富。アサギマダラ、ヒョウモンチョウなどの珍しい蝶(ちょう)類も飛び交い目を楽しませる。

 登り始めてから約1時間、出迎えてくれたのは通称「迎えの三本杉」という巨木杉。根元から3本枝分かれしている。不動明王、大日如来、地蔵菩薩(ぼさつ)などの石仏を横目で見ながら登山道を登り切ると、演習林の林道に出た。眺望が開け、谷から上ってくる霧がすがすがしい。さらに奥を目指すと「関越えの仁王杉」の愛称の巨木杉が待ち構えていた。樹齢500年以上とされ、まさに仁王立ち。

 演習林から外れて、事前に許可を得た関集落所有地に向かうと、うっそうとした原生林の中に、目指す「金剛杉」が鎮座していた。サミットで各国首脳をうならせた巨木だ。幾重もの枝が幹に合着、幹回りははっきりしないが、8~9メートルはありそう。樹高は約20メートル。周りには家来のように巨木杉が林立する。

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