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温泉食紀行

鳥取・岩井温泉 山陰の古湯で味わう大粒岩ガキ

2011/7/26 日本経済新聞 プラスワン

 この日、何度も湯につかる。入っても入ってもまた入りたくなる、そんな湯だった。

深さのある岩井屋の長寿の湯

 開湯から1200年と伝えられ、いまもなお名湯が湧く岩井温泉(岩美町)は、鳥取県の最北東に位置し、兵庫県との県境にある。田園に立つ看板「歓迎 岩井温泉」という赤い文字が温泉地の素朴さを醸し出している。

 老舗宿の岩井屋へチェックイン。全館畳敷きではだしで歩けて心地よい。早速、午後8時までは女性専用風呂となっている長寿の湯へ。湯は長寿の湯の底から湧く。ステンドグラスの窓から明るい光がさす浴場は明るい。光の先には、あまり匂いもなく、透明の湯が湯船に満ちている。湯船へと入っていくと段があり、どんどん深くなる。板敷きになっている湯船の底へ足を置くと、湯が胸の辺りまであった。

 湯はいわゆる石膏(せっこう)泉で、肌触りはとろりとしている。入浴中に肌の保湿をしてくれるから、全身を化粧水に浸しているようなものだ。またカルシウムを多く含むこの湯は心を静かに休ませる鎮静効果もあるといわれ、様々な泉質の中でも群を抜いた癒(いや)し系温泉としてわたしの大好きな温泉。夕食前にも、もう一度、長寿の湯へ。

 夕食には、山陰名物の岩ガキが出た。肉厚で、大きさは手のひら大。岩ガキの横に梅干しをポン酢であえたタレがあったが、「レモンを絞って食べるのが一番のおすすめです」と仲居さんに言われて、レモンをひとふり。

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