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イチからわかる

マラソン、どうしてブームなの?

 

2011/3/9 日本経済新聞 プラスワン

 「市民ランナーの川内優輝選手が3位に入って、今年の東京マラソンは一段と盛り上がったわね」。興奮気味のお母さんに、ニッくんは「マラソンはつらいのに……。なぜ大人に人気なのか分からないよ」と首をかしげた。すると、「走る人だけじゃなくて、応援する人も、大会を開く街も盛り上がってるんだよ」とお父さんが話し始めた。

都会で大会続々、メタボ対策も

 お父さん 外国では街中を走るマラソン大会が大きなお祭りになるん

 「市民ランナーの川内優輝選手が3位に入って、今年の東京マラソンは一段と盛り上がったわね」。興奮気味のお母さんに、ニッくんは「マラソンはつらいのに……。なぜ大人に人気なのか分からないよ」と首をかしげた。すると、「走る人だけじゃなくて、応援する人も、大会を開く街も盛り上がってるんだよ」とお父さんが話し始めた。

都会で大会続々、メタボ対策も

 お父さん 外国では街中を走るマラソン大会が大きなお祭りになるんだ。アメリカのニューヨークやイギリスのロンドンで開く大会がその例。世界のトップ選手と一般の人が一緒に走る都心の大会は、イベントもあって注目されるんだ。

 ケイちゃん 東京でも前から大会はあったでしょ。

 お母さん ランナーが走る間は車や歩行者が道路を使えないから、都心ではトップ選手だけを集めた大会が多かったわ。一般の人が参加できるのは郊外とか河川敷。でも、3万人のランナーが参加して2007年に始まった東京マラソンが話題になって、ほかの街もやってみようと考えたの。

 ニッくん どこの街?

 お父さん 今年の秋から大阪や神戸でも街中を走る大会が始まるよ。周辺のホテルやお店が繁盛すれば経済的な効果もあるしね。

 ニッくん でも、走るのはつらそう……。

 お父さん 健康のためにランニングを始める人が多いね。メタボリックシンドロームという言葉を聞いたことがあるよね。

 ケイちゃん 運動不足なんかで太って、病気になりやすくなることよね。

 お父さん メタボをチェックする健康診断が08年から始まったことも、ランニングをする人が増えた背景じゃないかな。

 ケイちゃん 応援する人は何が楽しいの?

 お母さん 今年の東京マラソンは200万人以上の応援で沸いたそうよ。頑張ってる人は応援したくなるし、大会の写真のコンテストとか、屋形船から応援するとか、走らなくても楽しめる催しも多いのよ。

距離、昔はバラバラ

 ニッくん マラソンって42.195キロでしょ。中途半端だよね。

 お父さん 大昔、ギリシャのマラトンという場所からアテネまで戦争の勝利を知らせたという伝説をヒントに、1896年のアテネ五輪でマラソンが始まった。アテネとマラトンの距離とほぼ同じ約40キロ。その後の五輪も40キロに近い距離で競走していたんだ。

 ケイちゃん 今は統一されてるでしょ。

 お父さん 今のマラソンとほぼ同じ距離で競走した大会は1908年のロンドン五輪。出発地点のお城から見やすいように設定した距離という説がある。それが1924年のパリ五輪から公式に採用されたんだ。

 ニッくん 同じ距離でも走る道はそれぞれだよね。

 お父さん マラソンはカーブの数や坂のきつさがコースごとに違うよね。だから、ほかの種目と違って、一番速いタイムは以前は世界記録といわず「世界最高記録」と呼んでたんだ。

 ニッくん 今は?

 お母さん 国際陸上競技連盟が04年に、コース全体の高低差など世界記録と認めるコースの条件を決めたのよ。今は男子が2時間3分59秒、女子が2時間15分25秒が「世界記録」よ。

タイムまだまだ縮まる

 ニッくん 最近は速く走る工夫をしているって聞いたけど。

 お父さん いい記録が出やすい平たんなコースで開く大会が増えているよね。ラビットとも呼ばれたペースメーカーも登場している。風よけになったり、選手同士がけん制し合ってペースが遅くなるのを防いだりするんだ。ペースメーカーの完走が認められている大会では、ペースメーカーがそのまま優勝したこともあるよ。

 ケイちゃん タイムはまだまだ縮まるの?

 お母さん トレーニングも科学的になって、心臓や肺を強くするために空気の薄い場所で訓練するのもあたり前よね。アメリカの大学教授は男子が2時間0分47秒、女子は2時間14分台にまで縮められると話しているそうよ。

 お父さん 一般の人は4時間を切ることが最初の目標で、2時間台になれば相当すごいランナーといえるね。ニッくんもケイちゃんも短い距離から始めてみたらどうだい。

 問題の答え A=7、B=ニューヨーク、C=ロンドン、D=ベルリン

 文教大学専任講師・早川明夫さんの話
 今年の中学入試では、社会や理科の試験で身近な話題を扱った問題が目につきました。政治や経済の話はもちろん、スポーツや文化、社会現象などにも日ごろから関心を持つようにしましょう。
 今回のテーマのマラソンも、なぜ42.195キロも走るのか、世界記録のタイムはどれくらいなのかなど、疑問に感じたことを調べると、思わぬ発見に出会うことがあります。例えば、男子の世界記録ベスト10の選手の出身国は、高原の国のエチオピアとケニアで占められています。これは、高地出身の選手たちの心肺機能が優れていることと関係がありそうです。

[日経プラスワン2011年3月5日付]

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