散策したい歴史ある町並み
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ガイド頼めば趣一段と
さわやかな秋は街歩きに格好のシーズン。最近では、持ち歩きやすい小ぶりの旅行ガイドブックも増え、じっくりと街を散策する旅が人気だ。古い建築物などが残り、歴史を感じられる町並みの中から、街歩きにおすすめのスポットを専門家に選んでもらった。
より楽しく街歩きするために活用したいのが、各地で取り組みが活発になっている地元住民らによるガイド。「ぶらりと歩くのもよいが、ボランティアガイドと歩くと、一人で歩くのとは違った発見がある」(村上真一さん)。景観や町並みの保存、観光案内などのために、住民らが団体を組織し、無料や安価でガイドをしてくれる地域も多い。
1位の「萩市堀内地区」では、「NPO萩観光ガイド協会」が1千~2千円で萩市内の史跡や文化財を、地元の言葉で解説しながら案内してくれる。「歴史・文化を誇りを持って伝えてくれる地域ガイドがいる」(大谷晴信さん)ことも、高評価につながった。
普段は見学しにくい場所もガイドを頼むと見られる場合もある。10位の「伊根浦舟屋群」では地元ガイドの「伊根浦散策案内人」が、歴史や漁村の暮らしなどを細かく解説してくれ、500円の追加で舟屋の内部を見学することもできる。
地元ガイドは事前に予約が必要な所が多い。込み合うこともあるため、旅の予定が決まったら、早めに連絡するとよい。
古い町並みを残す地域では景観を守るために、アスファルトを石畳にしたり、電柱を地中化したりするケースも多い。6位の「産寧坂」では、2009年に電線の地中化工事が終わり、かつての美しい町並みがよみがえった。
10位以内に入らなかったが、神戸市北野や函館市元町末広町など開国以来の異文化情緒を残す港町や、城崎温泉(兵庫県豊岡市)や俵山温泉(山口県長門市)といった歴史のある温泉街などを推す声もあった。
生活の場、地元の人々に配慮を
上位10位のすべてのスポットが国の「重要伝統的建造物群保存地区」。城下町、宿場町、門前町など各地の歴史的な町並みや集落の中から、価値が高いと判断されたものが選ばれており、各自治体は条例に基づき保存計画を定めている。訪れる際は、地元住民らの尽力で古い町並みが保存されていることや、日常生活の場でもあることへの配慮も必要だ。ゴミを持ち帰るなどは当然ながら、私有地に無断で立ち入らないなどにも注意したい。
選者からも「現在も生活をしている人は多い。やたらとのぞき込むなどの行為は控えたい」(野口冬人さん)、「古い日本の生活や生活様式に思いをはせること」(平尾隆信さん)などの指摘があった。
調査の方法 専門家におすすめの場所を挙げてもらったほか、「ゆっくり楽しめる」「見どころが多い」「休憩や飲食場所が豊富」という観点でも評価してもらった。選者は次の通り(五十音順、敬称略)。
稲葉教之(日本旅行グループ事業部マネジャー)▽大谷晴信(近畿日本ツーリスト地域振興事業部課長)▽小川正彦(昭文社旅行書編集部)▽河上喜介(阪急交通社広報部)▽岸本信夫(町並み画家)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽中根裕(ツーリズム・マーケティング研究所取締役)▽野口冬人(旅行作家)▽檜垣克己(JTB東日本国内商品事業部マーケティング戦略室長)▽平尾隆信(古い町並み探訪家)▽村上真一(実業之日本社ブルーガイド出版部国内版編集長)▽村田博之(「オールアバウト」名所・旧跡ガイド)
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