ビール通が選んだビール風味飲料
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味わい進化、低カロリー
売れ行きが伸び、新製品の発売が相次いでいるビール風味飲料。専門家が試飲し、おすすめを選んだ。ビール好きだけに、一般の販売動向などとは大きく異なる順位になった。
ビール風味飲料はアルコール度数1%未満で酒税法上は酒に分類されず、清涼飲料水として扱われる。以前は「ノンアルコールビール」などと表示されていた。ただ、微量とはいえアルコールを含む商品も多いため、公正取引委員会が2003年に表示の適正化を求め、「ビールテイスト飲料」などの表示になった。
ブームの火付け役はキリンビールが09年4月に発売した「キリンフリー」。アルコール度数0%を実現。運転者や妊娠・授乳中の女性のほか、ビールに比べてカロリーが低く健康志向の人にも受けた。この分野では圧倒的なシェアがあり、好調な売れ行きを受け、同社は8月13日、今年の販売目標を年初の430万ケース(1ケース=大瓶20本換算)から510万ケースに引き上げた。
ビールは麦芽やホップなどを煮て作った麦汁に酵母を入れて発酵させて造る。一方、ビール風味飲料の製法は、ビール評論家の田村功さんによると(1)アルコール除去(2)発酵抑制(3)非発酵の3つに大別できる。
(1)はビールから特殊な装置でアルコール分だけを抜いて造る。(2)は通常より低温で発酵させるなどして酵母の活動を抑え低アルコールに仕上げる。(1)、(2)とも発酵過程があるため、ビールに近い味わいになるが、アルコールができてしまい「技術的に完全になくすのは難しい」(田村さん)。
(3)は麦汁や麦芽エキスに糖類や香料などを加え、ビールに近い味に仕上げる。(3)は国内大手が採用しており、香料技術の進歩などで、より本物に近い味わいを出せるようになった。専門家からは「コクや苦みなどはビールとは差があるものの、数年前と比べるとかなりビールらしくなった」といった声が多かった。
アルコール微量でも「飲酒」に注意
ビール風味飲料が「清涼飲料水」なのはあくまで税法上の扱い。アルコールがゼロでない商品は、飲んで酔っぱらうこともある。車を運転すれば、事故の危険性が高まり、酒気帯びなどでつかまる可能性もある。
アルコール健康医学協会によると、アルコール濃度が薄くても濃くても、酔い方はアルコール分を正味何ミリリットル摂取したかで左右される。アルコール分が含まれるビール風味飲料の場合、大量に飲んでアルコール摂取量がその人の限度を超えれば、酔ってしまい、アルコールが抜けるまで時間もかかる。
一方、製造工程に発酵がなく、アルコール度数「0.00%」の商品は理論上はアルコールはゼロといえる。ただし、そうした商品も20歳以上を想定しており、未成年の飲用は控えよう。
調査の方法 小売店や大手通販サイトでの売れ筋、専門家の推薦などから20種類を選出。専門家が試飲した評価に、売れ行きなども加味して順位を付けた。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
江口まゆみ(酒紀行家)▽エディ中村(日本地ビール協会認定ビアテイスター・マスタージャッジ)▽小田良司(日本地ビール協会会長)▽木内洋一(木内酒造専務)▽木越敦子(フードアナリスト)▽小畑昌司(ビアパブ「PANGAEA」店主▽佐藤裕介(「新橋DRY-DOCK」店長)▽園田智子(ビール醸造家)▽田村功(ビール評論家)▽友田晶子(オールアバウト「日本酒・焼酎」ガイド)▽樋口昇(「神楽坂ラ・カシェット」代表取締役)▽藤原浩(フードアナリスト)
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