家族で楽しめる動物ふれあいスポット
見て触れて 喜びひとしお
動物との触れ合いを楽しめる動物園や水族館への関心が高まっている。ゾウやセイウチなど大きな動物や海獣と親しめるところも珍しくなくなってきた。そうした施設から、子どもも大人も夢中になれるところを専門家に選んでもらった。
触れ合いといっても少し前までは小動物を除けば、柵越しになでたり餌やりしたりする施設が多かった。最近は柵の外に動物を連れ出すか、柵の中に人間が入り、動物と濃密に触れ合えるところが増えている。ランキングに入った全施設でこうした体験ができる。
背景にあるのが、北海道旭川市の旭山動物園の成功だ。旭山は触れ合いで人気が出たわけではないが、展示法次第で客を呼べるとわかり「旭山に追いつけと、ここ10年は触れ合い体験でひき付ける施設が増えた」(日本大学生物資源科学部教授の村田浩一さん)。
もっとも、過度な触れ合いは動物がストレスを感じる。本来の生態系に近く、自然な形で触れ合える施設が増えている。1位の長崎バイオパークは水辺が好きなカピバラのために大きな池を設け、冬の肌の乾燥を防ぐため露天風呂も設置。3位の八景島シーパラダイスでも動物がのびのびと暮らせるように工夫した。
教育面に配慮する施設も出てきた。10位内には入っていないが、富山市ファミリーパークは2008年から予約制の「動物なるほど教室」を始めた。聴診器を使って人とウサギの心臓の音を聞き比べるなど動物のことをより深く学べる。
この紙面で取り上げた施設には当てはまらないが、過密飼育などの理由で過去に日本動物園水族館協会から改善勧告を受けたところもある。飼育環境に目を向けてみるのも大切だろう。
トナカイやワニと遊べる施設も
10位外にも珍しい動物と触れ合える施設は多い。爬虫(はちゅう)類系では、静岡県の熱川バナナワニ園(東伊豆町)で子どものワニの背中をさすれる。沖縄こどもの国(沖縄市)ではイグアナに触ることができる。
長野市の茶臼山動物園ではレッサーパンダと触れ合える。トナカイと遊べるのは、長野県の白馬トナカイ牧場(白馬村)。一緒に散歩したり、馬車に乗ったりできる。北海道のトナカイ観光牧場(幌延町)では冬にソリを引いてもらったり、餌をやったりできる。
探せば、近くにも触れ合いスポットはありそうだ。ただ、口蹄疫(こうていえき)の影響で、動物への感染防止のため、触れ合いを縮小・中止している施設もあるので事前に確認しよう。
調査の方法 動物との珍しい触れ合い体験ができる動物園、水族館、牧場など63施設を候補に選出。子どもだけでなく大人も楽しめるという観点から10施設を選んでもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
今泉忠明(日本動物科学研究所所長)▽内山晟(動物写真家)▽佐々木司郎(「動物園ぴあ」「水族館ぴあ」編集長)▽佐々木隆(オールアバウト水族館ガイド)▽實吉(さねよし)達郎(動物研究家)▽中村元(水族館プロデューサー)▽西源二郎(前東海大学海洋科学博物館館長)▽村田浩一(日本大学生物資源科学部教授)▽やきそばかおる(動物写真家・ライター)▽若生謙二(大阪芸術大学環境デザイン学科教授)
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