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「フジロックフェスティバル'14」リポート 日本のベテランに若者が熱狂

2014/8/15

 フジロックフェスティバル'14(7月25~27日、新潟県湯沢町の苗場スキー場)は、気鋭の海外アーティストに注目が集まる中で、日本のベテラン勢の活躍も光った。77歳の加山雄三が旗揚げしたロックバンド「ザ・キング・オールスターズ」が若者を熱狂させ、ウルフルズやビギンといった40代の中堅も圧巻のステージを見せた。

若者から熱い声援を受けたザ・キング・オール・スターズのステージ。右から佐藤タイジ、武藤昭平、加山雄三、ウエノコウジ(7月27日、オレンジコート)=写真 中嶌 英雄

 「今年デビューした新人バンドです、よろしく」。喜寿を迎えた若大将こと加山雄三が叫ぶ。27日の夕方。朝から降り続いたしとしと雨は彼らの登場前にぴたりとやみ、雲間から青空が顔を出している。エルビス・プレスリーのロックンロール「シー・シー・ライダー」で幕開けだ。シアター・ブルックの佐藤タイジ(ギター)、元ミッシェル・ガン・エレファントのウエノコウジ(ベース)をはじめ40代を中心とした実力派がバックを固める。観客の熱気がどんどん上がっていく。

 フジロックのライブは、スキー場の広大な敷地に用意された10を超えるステージで進行する。キング・オールスターズが登場した「オレンジコート」は入場口から歩いて30分近くかかる奥地にある。入場口近くのメーン会場「グリーンステージ」は4万人、その奥の「ホワイトステージ」は1万5000人を収容する。オレンジコートはそれらより小規模だが、5000人を収容できる広場にある。しかしキング・オールスターズの出番になると大勢の観客が押し寄せ、あっという間に超満員になった。

77歳の喜寿を迎えたが、元気いっぱいの若大将こと加山雄三=写真 中嶌 英雄

 エルビスの曲に続いて「スイーテスト・オブ・オール」が始まった。若い観客はこぶしを突き上げ、ビートに合わせてジャンプしている。彼らは知っているだろうか。この英語で歌われるエルビスばりの格好いい曲が、弾厚作こと加山雄三の作詞、作曲であることを。51年前の1963年夏に公開された映画「ハワイの若大将」の挿入歌であったことを。ステージの若大将は、そんなことはいちいち説明せず、汗をかきながら熱唱する。若者たちは米国のオールディーズの名曲と思って聴いたかもしれない。それでいいのだ。

 その後も「アイ・フィール・ソー・ファイン」「クール・クール・ナイト」「ブーメラン・ベイビー」「ホンキー・トンク・パーティー」と立て続けに歌った。英語の歌詞を含めて、どれも加山雄三(弾厚作)の作品だ。「おれは本当はロックンローラーになりたかったんだ。ゆっくりした曲(つまり「君といつまでも」)がヒットしたものだから、ちょっと路線が変わっちゃったけどね」と若大将が言う。山下達郎がカバーしたこともある「ブーメラン・ベイビー」をはじめ、1960年代の日本人が作ったとは信じられないほど洋楽然とした曲ばかりだ。

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