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「美術の五輪」でも注目 アジアの現代アートが台頭

2014/3/4

 アジアの現代アートが勢いづいている。中国、韓国、インドなど様々な国が作家を輩出している。西欧中心に発展してきた近代以降の美術史の中でアジアが存在感をあらわにし始めると何が起こるのだろう。まずは、ベネチアで開かれた芸術祭の1コマから。

■ドイツ館に中国出身の美術家の作品

 イタリア北部の観光都市、ベネチアで2年に1度開かれる芸術祭「ベネチア・ビエンナーレ」。昨年訪ねた際、大量の木製の丸椅子を組み合わせて、部屋いっぱいに網の目状に張り巡らせた作品があった。口から木の円盤や棒を吐くクモがいて「巣」を作ったとしたら、こんな造りになるのではないか。そんな想像をさせるユニークな展示だった。

 会場はドイツ館。「巣」の中を歩くように作品の内部を通ると、普通ではありえない人工的な造りにもかかわらず、親しみやすい空気に満ちた世界に身を投じたようだった。解説パネルで作者名を確認したときに、少々驚いた。作者が中国出身の美術家、アイ・ウェイウェイだったからだ。アイは、2008年に開かれた北京オリンピックのメーンスタジアム、北京国家体育場(鳥の巣)のデザインに携わったことで知られる。一方でオリンピックや四川大地震に対する政府の姿勢を批判する活動家の側面ももち、11年には中国当局に身柄が拘束されたことでも有名になった。09年に東京の森美術館で開かれた大規模な個展では多彩な作風が紹介され、日本での美術家としての認知度が高まった。

 1世紀を超える歴史を持つベネチア・ビエンナーレは、国別に美術作品を展示する形式から「美術のオリンピック」と呼ばれることがある。昨年参加したのは、88カ国・地域。このほど閉幕したロシアのソチ五輪に参加したのが同じ88カ国・地域だったことを考えれば、この芸術祭を「オリンピック」にたとえるのもこじつけとはいえない。国の展示に与えられる賞もあり、昨年はアフリカから参加したアンゴラ館が金獅子賞を受賞、日本館も「特別表彰」を受けた。

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