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フェラーリ式農業再生法とは? 奥山清行氏

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

米ゼネラル・モーターズ(GM)、独ポルシェ、伊フェラーリなどの世界的な名車をデザインしてきた工業デザイナーの奥山清行氏が、11月23日から12月1日まで開催した東京モーターショーに新作のスポーツ車やコンセプトトラクターを出品した。2006年に独立後、ジュネーブモーターショーなど海外で自らの作品を発表してきた奥山氏が東京モーターショーに参加するのは初めて。

4月1日からヤンマーの持ち株会社、ヤンマーホールディングスの社外取締役に就任し、トラクターなどヤンマーの全商品のデザインを手がけているほか、同社の経営や日本の農業の生き残り策などにも活動の領域を広げる奥山氏に、農業経営が直面する課題や未来像について聞いた。

――これまで世界的な名車のデザインを手がけ、日本の工芸品や職人技の世界発信に取り組んできた奥山さんがなぜ今、農業問題に関わっているのですか。

「きっかけは2011年3月の東日本大震災です。僕自身が東北(山形県)の生まれだし、実家は兼業農家なので、震災後の復興や日本の将来を考えるとやはり農業の再生が欠かせないと感じていた。そんな時、ヤンマーの山岡健人社長から社外取締役の就任を打診されたので、農業問題に取り組むのにいい機会だと引き受けることにしました。昨秋から北海道、宮城、山形、埼玉、群馬、愛知、熊本など全国の専業農家、兼業農家をつぶさに視察し、自分なりに日本農業の実態を見てきたつもりです。現実問題として、農業の未来の担い手は、徐々には出てきているがまだまだ足りない。だから、格好がいい農業、もうかる農業を提案することで、やる気のある若者に農業の担い手になって欲しい。その手助けができたらうれしいと思っています」

――東京モーターショーに展示した近未来的なコンセプトトラクターにはどんな思いを込めたのですか。

「そもそも東京モーターショーにトラクターを出品すること自体が前例のないことです。既存の枠にとらわれない意気込みを示したかった。トラクターの開発で重視したのは長時間の作業をストレスなく、快適かつ安全にできるように工夫した点です。運転席の窓ガラス部分を大きくし、足元まで見通せるようにしました。体が痛くならないように腰を優しく包み込む大きなシートを付けたり、締め切った運転席でも暑くも寒くもないように空調機能にも配慮したりした。音響装置も備えているので自動車並みに音楽も楽しめる。外観はスーパーカーの隣に並んでも決して見劣りしないデザインです」

「全地球測位システム(GPS)による無人追尾装置も搭載しました。1人で2台運転できるようにするためです。限られた人数で大規模経営するにはやはりロボットの活用も欠かせない。これまで手がけてきたスポーツ車や列車など乗り物のデザインのノウハウも随所に生かしました。僕の目から見て、トラクターはまだまだ改善できる余地がある。人間工学の視点ももっと導入したい。苦痛が伴い、格好が悪いようでは農業の担い手は集まらない。こうしたアイデアを応用した様々な量産モデルを商品化したいと思っています」

――現在、日本の農業経営が直面している課題は何でしょうか。

「今回、全国を視察してみて、様々な発見がありました。意外だったのは、兼業農家よりも専業農家に情報が不足していることです。日本で本格的に農業経営しようとしたら、10ヘクタール程度ではなく100ヘクタール規模でやらないと成り立たない。それには新たな専門知識が必要です。でも、米国などの大規模農場経営を勉強しようとしても言語の壁がある。本や教室で勉強した知識は体験を通じて覚えた知識でないから実用的ではない。やる気のある専業農家ほど情報に飢えているわけです」

「売れる農作物をどうつくるかという発想も不可欠です。ほかの産業では当たり前のことですが、これまでの農業にはあまりなかった。それでは個々の農家がいくら工夫しても差が生まれない。政府の農業政策も農協もこうしたフラットな構造を支えているだけ。たとえ減反政策をやめても、その後どうするかという戦略がなければ問題は解決しない。何が売れるのか。何をつくるべきか。販路開拓も含めて、マーケティングやブランディングの戦略を考えないと生き残れないでしょう」

――製造業のように海外との競争で淘汰される分野も出てくるのでしょうか。

「フェラーリのような高級車もそうですが、本当に良質でおいしい農産物ならば、かなりお金を出しても買いたいという成熟した消費者がいる。そうした顧客を相手に付加価値の高いもので日本の農業は勝負せざるを得ない。日本の農業はこれまでフラットな構造でしたが、良い物は高く売れ、工夫すれば差が出るという明確なピラミッド構造に移行するのではないでしょうか。このピラミッドの裾野の部分は、コスト競争なのでやはり日本では成立しにくい。かなり淘汰される運命にあるのかもしれません」

――環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への日本の参加で高関税で守られていた農産品は厳しい競争にさらされる可能性もある。

「もちろんTPP交渉の行方は注視していますが、農業再生のために日本はいち早く大胆な改革に取り組むべきです。農業は国土の景観や水源の確保などの環境問題に直結するし、農産物の自給率の問題もある。放置したままで済む問題ではない。強みを生かす攻めの姿勢がなければ事態は改善しません。僕は1人のデザイナーであり、できることには限界があります。これまでの経営コンサルタントやブランディングのノウハウを生かし、自分のできる範囲でやる気のある農業経営者を支援したいと考えています」

――ヤンマーの社外取締役としては何に取り組んでいますか。

「今、議論しているのは農機具のディーラー網の活用です。情報や販路開拓も含めて農家のニーズに十分には応えられていない。でも、もっとうまく使えばかなりのことができる。商品を売ったらそれで終わりというビジネスではダメです。商品を売ったら、そこから売り手と買い手のつき合いが始まるというやり方でないといけない。情報提供や人材育成、販路開拓、ブランディングなどをヤンマーが支援するのも面白い。循環性のある、息の長いビジネスを続けるべきだと考えています」

「消費者を巻き込んだ運動も大きなエネルギーになるでしょう。イタリアでは安くて速いファストフードに対抗し、食文化の保護や教育を重視するスローフード運動が生まれました。豊かな生活を楽しむためにはこうした消費の側からの動きも欠かせません。どう豊かに暮らすかという食生活やライフスタイルの提言も含めて、そこまで仕掛けを広げてゆかないと日本の農業再生は成功しないかもしれません」

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