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女性ならではの「売り方」指南 営業ウーマン育てる 女子力起業(6) 編集委員 石鍋仁美

2013/10/14

 体力勝負の男性とは違う、「戦わずして勝つ」売り方が女性にはできる。人材育成コンサルタントでベレフェクト代表取締役の太田彩子さん(38)は、そう語る。早大在学中に出産し、子供と生きていくため編みだした女性営業職ならではの技術と哲学。それを若い女性たちに伝え、営業ウーマンを育てようと活動する。「女性って、営業職に向いているんですよ」。経営者の方たちにも気づいてほしいと願う。

「日本に女性の営業職を増やしたい」と語るベレフェクト代表取締役の太田彩子さん

 10月7日月曜夜。「営業職」での就職に興味を持つ女子大学生たちが太田さんの研修を受けていた。新規開店した書店の店員として、近所の美容院に雑誌の定期購読を売り込むという設定だ。太田さんは美容院の店員役。頼りなげな営業トークを遮り「あ、うちは買う店が決まっているので」。あえなく研修生は敗退した。

 「そういうときは、どの店から買っているか聞いて。営業は情報収集の場でもあるんだから」。メモを取る学生。笑顔の作り方にも指導が入る。「暗い人の話を聞きたい人っている? あと、敬語は……」。明るい笑顔、軽やかな声で、初対面の人の心をつかむすべをてきぱきと伝授していく。「世の中って厳しいんだよー」とニコリ。

■女性には女性ならではの営業方法がある

 ふだんは企業で現役営業職の女性社員を相手に研修している。不動産、証券、自動車、食品。例外的な一部の企業や業界をのぞけば、女性はまだ少数派。部署や営業所の枠を超えて集まってくる。それでも、こうした研修事業が成り立つまでには増えてきた。年間6000人の女性営業職と接するそうだ。

 実のところ、政府の調査でも、営業職の人気は低い。見方を変えれば、求人は多いが希望者が少なく、就職しやすい職種といえる。企業社会で女性がふつうに活躍するようになるには、女性営業職の増加が近道であり、不可避でもある。

研修事業で年間6000人の女性営業職と接する

 なぜ不人気なのか。営業職といえば体力勝負で、土日も返上し、残業が多く、夜も接待をこなす。そんなイメージがないとは言えない。これでは子育てなどを考える女性が二の足を踏むのも無理はない。実はそんなことはない。違った営業のやり方があり、十分実績をあげられる。太田さんは自らの経験から確信している。

 父は会社員、母は専業主婦というふつうの家庭に育った。しかし10代のころ、不動産会社を経営するおばから「女性も仕事を持つ時代になる。できれば起業しなさい」と言われた。「その時はピンと来ませんでした」。大学を卒業したら、何年かは共働きでバリバリ働いて、結婚して出産したら家庭に入る。そんな未来を想像していた。

 転機は大学在学中の妊娠と出産だ。専業主婦生活は「自分が認められていない」感覚が募った。不動産関係の会社を立ち上げるも、「営業して売り上げをつくるスキルが全くなく」失敗。結婚生活それ自体も、長くは続かなかった。

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