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安心・安全

駅エスカレーター片側歩き 事業者が見直し呼びかけ 高齢者、接触で転倒

2013/7/2

 駅のエスカレーターを歩かないで――。片側を空けて急ぐ人が歩くという、大都市で慣例となっているマナーについて、エスカレーター業者や鉄道事業者が危険だとして、止まって乗るよう改めて呼びかけている。高齢者や障害を持った人が、歩く人にぶつかって転倒するなどして不安を感じているためだ。地道なマナー改善策で、歩くのが減った駅も現れている。

 東京都練馬区に住むAさん(75)は2月、JR池袋駅構内の上りエスカレーターで左側に立っていたとき、右側を駆け上ってきた若者と接触し、つまずいてしまった。左腕を打撲負傷していたので手すりにつかまれずバランスをとりにくい態勢だった。「もし下りに乗っていたら転がり落ちたかもしれない」と話す。

■歩く前提なし

 東日本で右側、西日本で左側を空けて上り下りするのが日常となっている駅のエスカレーター。だが本来は昇降機であり、歩くことを前提に設計されていない。このためAさんのような高齢者を中心に事故が増えている。東京消防庁が調べた2012年の都内の駅のエスカレーターでの事故件数は、11年比21%増の877件だった。

 エスカレーター保守・管理の三菱電機ビルテクノサービス(東京都荒川区)は昨年8月、全国の60~84歳の男女にインターネット調査を実施(有効回答529人)。安心して乗り降りするための要望を尋ねたところ「歩行を禁止してほしい」が最多の33%だった。つまずいたり、転びそうになったりした人は31%にのぼる。同社は夏休み期間中でもある7~9月、全国で子どもなどを対象に啓発活動に乗り出す。

 だが、通勤客の間で定着している慣例を和らげるのは難しい。6月下旬の午前8時台に、JR新宿駅内のエスカレーター数カ所で右側に立ってみた。通勤客からかえってきたのは舌打ちと、「右を歩くのはマナー。邪魔だ」という非難だった。

 駅も手をこまぬいているわけではない。「駆け上がったり駆け下りたりすると急停止の原因となりますのでおやめください」(JR新宿駅)、「エスカレーターの上を歩かないこと」(大阪市交通局の地下鉄梅田駅)といったポスターを随所に掲げる。

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