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工事現場はエンタメ…ライブ感、カップルも魅了

交流サイトのネタに

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 作りかけが面白い――。文化財や公共施設の建設・改修現場に足を運ぶ人が増えている。完成後には決して見ることのできない細部をのぞける楽しさ、プロの先端技術への興味など理由は様々だ。マニア以外にも訪問者の裾野が広がったきっかけは昨年開業した東京の新ランドマーク。工事現場の見学がちょっとしたエンターテインメントとして注目されるなか、大がかりな土木工事でなくとも、ファンを受け入れる体制を整える動きが広がってきた。

新たな観光資源として注目

兵庫県姫路市の国宝・姫路城は「白鷺(しらさぎ)城」とも呼ばれる優美な姿で知られる。その大天守は約45年ぶりの大規模修理中で、鉄筋の囲いにすっぽり覆われてしまっている。それでも3月上旬に訪れてみると城の入り口には観光客の行列が。目的は修理の見学施設「天空の白鷺」だ。

城を取り巻くように設けられた施設の8階では40人ほどがガラス越しに修理中の屋根を眺めていた。8万枚の瓦が間近に整然と並ぶ。しっくいを使う修理技法などを映像や模型で紹介しており、もはや工事現場というより博物館のよう。地上約100メートルからの眺めも絶景だ。

京都市の山本一郎さん(75)は約20年ぶりに姫路城を訪れた。「もともと文化財に興味がある。昔、奈良の大仏殿の修復作業を見て以来、工事そのものへの関心も高まった」。東京駅の改修工事なども見学済み。「普段隠れている部分を見ることができるのが最大の魅力」と話す。

城郭の修理ゆえ文化財ファンのシニア層が目立つのはもちろんだが、カップルや家族連れなど若い世代の見学者も多い。四国地方から来た男性会社員(30)は修理の様子をスマートフォン(スマホ)で撮影、その場で交流サイトのフェイスブックに公開した。「『今だけ』の光景はネットで友人に紹介する格好の話題」

姫路城が修理の公開を始めたのは2011年3月。管理事務所の和田達也所長によれば「文化財修理への理解を深めてもらうのと同時に、工事中も観光資源として活用する」のが理由だ。12年度は3月上旬までに約65万人が姫路城を訪問。工事が非公開だった10年度より4割も膨らんだ。

東京スカイツリーで身近に

文化財以外では大規模な土木工事も折に触れ見学会を開く。これがどこも盛況だ。東京都道路整備保全公社が2月26日に開いた首都高速中央環状品川線の建設現場見学会。巨大トンネルの工事を一目見ようと、定員30人に対し14倍強の応募があり関係者を驚かせた。

注目されている工事現場を観光資源として生かす試みもある。

西日本高速道路が開発したのは、道路建設工事の見学と周辺地域の観光を組み合わせた「ハイウェイツアー」。昨年11月の回(1万5800円~)は、建設中の東九州自動車道日向インターチェンジ(IC)―都農IC間にかかる「寺迫ちょうちょ大橋」(宮崎県日向市)の現場を見学した。

ヘルメットをかぶった参加者は、世界初の工法で建設中の橋について説明を受けた後、開通後は二度と歩けない橋の上を思い思いに散策した。

工事現場が一般の人にも身近になったきっかけは、昨年5月に開業した東京スカイツリー(東京・墨田)だ。10年3月末に東京タワー(東京・港)の高さ333メートルを超えるといった節目ごとに話題を呼び、遠巻きに眺め、あるいは近くから見上げる人が増えた。

東京都江東区の主婦(28)は「以前は興味なかったけれど、子供とスカイツリーの工事を見ていて自分も工事現場好きになった」。月に1~2回、近所の橋の現場などを見に行く。

こうした大規模な工事ではなく、もともと見学も想定していないような一般の工事現場にも足を運ぶ人が目立ち始めた。

再開発が進んでいる第一・第二鉄鋼ビルディング(東京・千代田)の現場では、大型クレーンやくい打ち機などの大型重機が轟音(ごうおん)を響かせて動き回る。最近、その光景をデジタルカメラやスマホで撮影する人の姿を見かけるようになった。東京都墨田区の男性会社員は「ここは最新鋭の珍しい重機が見られるから来た」。

施工者側には最近、見学者を意識して、工事の概要や進捗状況を現場で紹介する動きも広がる。「外部の人に見られていると緊張感が保てて張り合いもある」(都内の工事関係者)

もっとも工事現場はあくまで安全第一。柵や覆いで囲った制限区域内に入らないのは当然、作業の妨げとなる行為も厳禁だ。見学は「マナー第一」としたい。

最新技術や職人技の宝庫

現場見学はこんなところでも実施された
正倉院正倉
屋根のふき替えなどの工事が見られる見学会を過去3回開催
東京都内の道路工事ツアー
東京都道路整備保全公社が随時主催。2月には首都高速中央環状品川線の現場のツアーを実施
カマラサウルスの骨格組み立て
福井県立恐竜博物館が3月22日まで、骨格標本組み立ての様子を一般公開
企画展の展示制作の現場公開
昨年11月20日~12月9日、神奈川県立生命の星・地球博物館が企画展「博物館の標本工房」に先立ち実施

夜中の工場や水門の探訪ブーム、完成した橋の渡り初め。これまでマニアや一般の人が見学するものといえば、すでに完成した施設だった。今、関心の行方が「作りかけ」や改修中の現場に及んでいるのは、その「刹那性」が備える情報価値ゆえだろう。

その時、その場所でしか見ることのできない光景は、交流サイトなどで情報発信する格好のネタだ。東京スカイツリーが徐々に伸びていく連続写真を目にした人は、その「今だけ」の姿の価値に気付いたはず。さらに長期にわたり現場を公開している姫路城の試みが、観光気分で気軽に現場を訪れる楽しさを多くの人に知らしめたようだ。現場は最新技術や職人技の宝庫で、知的好奇心を満たすスポットでもある。

一方、「実際に工事をしている企業や施設側の意識の変化も大きい」と指摘するのは、JTB総合研究所の松井一郎主席研究員。やはり姫路城の成功事例もあり、現場公開による集客効果や、工事の意義を広く理解してもらうPR効果への認識が進んだという。

従来も税金を使う大規模公共工事などでは見学会を開く例もあったが、今後は「より見学者を意識した現場の整備が進むのではないか」と松井主席研究員は予測する。実際、道路工事などでは休業日に現場を公開したり、現場の仮囲いに透明の窓を付けて中を見せたりする例も増えた。

政府は2013年度予算案で公共事業費の増額を決めた。数年後には、ファンが足しげく見学に通う土木工事の現場が増殖しているかもしれない。

(鈴木淳)

[日経MJ2013年3月18日付]

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