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米国人「サケ・サムライ」が震災復興に助太刀

2012/9/15

 ワイン、地ビールとアルコール飲料の好みを広げてきた米国人が、今度は若者を中心に日本酒に手を伸ばし始めた。日本人の酒離れを横目に、昨年の米国向け日本酒輸出量は2000年の約4倍と、過去最高に。その仕掛け人が「サケ・サムライ」の異名をとるジョン・ゴントナーさん(50)だ。日本酒の伝道師は大震災の被災地、東北の酒を売り込む復興の助っ人でもある。

日本人以上に日本酒の心を理解するジョン・ゴントナーさん

 ■「世界に誇れる文化」の自負

 「『サケ・ソムリエ』なんて言うんじゃないよ。サケは日本のものだ。ワインの世界から言葉を借りてくる必要がどこにある?」――。

 江戸っ子ですか、と思わず突っ込みを入れたくなる流暢な日本語で日本酒への熱い思いを語るゴントナーさんは、オハイオ州クリーブランド出身で現在は鎌倉に住むアメリカ人だ。新劇の元女優、麻由子さん(41)と結婚し、二児の父でもある。

 酒の神さまに見込まれたのだろう。電子エンジニアとして日本で仕事をするうちに、英字新聞「The Japan Times」に日本酒コラムを掲載するようになり、とうとう「酒伝道師の人生を目指す」と仕事を辞めてしまった。

 06年に、日本酒造青年協議会から歌手の加藤登紀子さんと一緒に「酒サムライ」に選ばれた。ここ10年余り、ニューヨークやサンフランシスコなど米国の大都市と日本を行き来しながら、アメリカに日本酒文化の種をまいてきた。

■安酒が招いた誤解

 その動きはくしくも、アメリカ人の「日本酒観」が劇的に変わる時期と重なった。

 アメリカ人は長年、日本食レストランで出される箱ザケといわれる酒を熱燗(あつかん)にして飲むことが多かった。ところが近ごろは寿司ブームの助けもあり、良質の冷酒や蔵元直送の日本酒が市場に出回るようになった。

 「ツンときてマズイ」から「飲みやすくて、おいしい」へ。この風を真っ先にとらえたのがゴントナーさん、というわけだ。

 「酒オタク」も育ち、ミネソタ州などでメイド・イン・アメリカの地酒造りを始める米国人も増えてきた。

ゴントナーさんの講習会。利き酒に臨む受講生は真剣な表情だ

 この夏、日本酒の普及ではニューヨークに比べ3~5年遅れているという米中西部シカゴで初めて3日間の講座「Sake Professional Course(酒専門家養成コース)」を開いた。

 蓋を開ければ、州外からも申し込みが殺到、特に宣伝をしたわけでもないのにあっという間に定員に達した。受講料800ドルというセミナーをのぞくと、まるで大学の講義のよう。聞き入る約60人の受講者は真剣そのものだ。

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