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共働きでも預けたい 進化型幼稚園続々登場

2012/7/24

 幼稚園でも独自の教育方針にこだわりながら預かり時間を延ばすなど、実質的に保育園の機能を持つ施設も増えている。認定こども園とも異なる進化した幼稚園は、保育園に頼りがちな共働き家庭の人気も集めている。

■午後6時まで子どもを保育

午後6時までの預かり保育後、送迎バスに乗り込む園児たち(千葉県船橋市の夏見台幼稚園)

 「ばいばーい」。2台の送迎用バスが動き出すと、園児らが先生たちに手を振りながら叫ぶ。一見どこにでもある帰宅風景だが、時刻は幼稚園としては珍しい午後6時。千葉県船橋市にある夏見台幼稚園・保育園の最終バスだ。

 同幼稚園には保育時間が午前9時~午後2時のAコースと、午前7時~午後6時が基本のBコースがある。最終バスはBコースの園児用。鳥居徹也園主は「幼稚園で幼児教育を受けさせたいけど、勤務時間の関係で保育園に預けざるを得なかった保護者のニーズに応えたかった」と話す。

 一つ屋根の下に保育園も併設しており、給食施設や体育館を共有。さらに敷地内に小児科医院を設けており、保護者の多様なニーズに応える。

 園児1000人以上と国内最大級のマンモス幼稚園である柿の実幼稚園(川崎市)。子どもが狭い園舎にひしめく風景を想像するかもしれないが、この園は異なる。丘陵の森と一体化した広々とした園内には屋内プールやアトリエ工房、畑などが広がる。

 園児数の多さはそれだけ多様な生活スタイルの家庭から子を受け入れているということでもある。「最初は看護師や学校関係者を支援したいと思い、始めた」(小島澄人園長)という預かり保育は、30年ほど前に午後6時までで開始。共働きの保護者らの要望を受けその後、午後8時まで延長した。夏休みなど休暇中も預かり保育は行う。

■こども園への移行は消極的

 事実上、国が旗をふる幼児教育と保育園の機能を併せ持った認定こども園同様の施設になった形。だが、柿の実幼稚園の小島園長はこども園移行には消極的だ。「役所への提出書類が増え事務が煩雑になるだけ。共働き家庭のニーズに応えるため、保育園の新設は考えている」と話す。

 関係者の間ではこども園になると教育方針に制約が生じるとの見方もある。

 「一粒のお米も一滴の水も、みんな仏さまのお恵みです。仏さまありがとう。お父さまお母さまありがとう。いただきます」。東京都葛飾区のルンビニー幼稚園では食事前に必ず園児が唱和する。映画「男はつらいよ」シリーズで有名な柴又帝釈天付属の園だ。

 日蓮宗の教えを教育に取り入れており「飼っている虫が死んだら、園児はアイスクリームのスプーンを卒塔婆にした墓を作り、手を合わせている」(早崎淳晃園長)。それだけに「他の宗教法人の保育園に聞くと宗教的教育は大幅に制限されるようだ」と、こども園移行に慎重な姿勢を示す。

 保育園を所管する厚生労働省は「保育は形式的には市区町村が行い園に委託している。政教分離の観点から、宗教色を制限する自治体もある」(雇用均等・児童家庭局保育課)と説明する。

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