春を満喫できる水辺の名所
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新芽彩る道 足取り軽く
水ぬるむ春。せせらぎの音を聞きながら、水辺を散策するのはすがすがしい。芽吹き始めた植物に彩られた早春の道は足取りも軽い。春を楽しむのにおすすめの水辺を写真家や旅の専門家らに挙げてもらった。
日本列島は南北に長く、標高差もあるので、春が訪れる時期は場所によって大きく異なる。このため、2月中に楽しめる名所から、5月に見ごろを迎える名所まで広く対象にした。
1位の「奥入瀬渓流」の春は雪解けにより水の量が増え、滝の勢いのある水しぶきに圧倒される。5月に入ると生い茂る新緑のトンネルを堪能できる。
奥入瀬のほか、上位に目立ったのが、山間部の水辺だ。3位「上高地・梓川」や8位「尾瀬」などは高山植物の宝庫。5月から6月にかけて小さな花々が一斉に咲き始める。
里にも春を感じる水辺の名所は多い。2位「四万十川」や6位「河津川」は菜の花の黄色に染まる。花の遊歩道をのんびり散策したり、サイクリングしたり。3月中には夜にライトアップされる時期もある。
日本人は昔から春の水辺を好んだ。5位「隅田川」は「江戸時代に8代将軍徳川吉宗が民衆にも花見ができるようにと開放した由緒ある地」(日本ウオーキング協会の深見賢一センター長)。10位「琵琶湖・近江八幡の水郷」を舟に乗って巡る「水郷めぐり」は織田信長らが戦国の世の疲れをいやすために宮中の遊びをまねたといわれる。
芽を出したばかりの草花、新緑で覆われた林など同じ場所でも時期によって様々な春の楽しみ方がある。ただ春が浅い場合、山間部など雪が残っていることもあるので、スノーシューや防寒着を忘れずに。
また、雪深い地域を中心に、春らしい気候になる時期や花の咲く時期などは年によって大きく変わる。目当ての花などがある場合は事前に確認しよう。
信濃川やすらぎ堤 1カ所で楽しみ複数
ほかにも水辺の名所は多い。京都市の「哲学の道(琵琶湖疏水)」を挙げる人も多かった。「銀閣寺前から若王子神社まで続く散策道が美しい」(河原淳さん)。九州では宮崎県の「高千穂峡」に「絶壁から落ちる滝を間近に見られる」(矢野さん)、熊本県の「菊池渓谷」に「青空と清流に張り出す枝が美しい」(寺澤さん)との声が寄せられた。新潟市の「信濃川やすらぎ堤」を推す声も。桜、ユキヤナギ、チューリップ=写真=と、1カ所で3種類の春の花が楽しめる。
調査の方法 日本全国の河川や湖沼を対象に、水辺で春の景観や風情を楽しめる場所を旅行専門家や写真家らに挙げたもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
相澤倫也(リクルート広報部)▽加藤八十司(JTB広報室マネージャー)▽河原淳(エイチ・アイ・エス国内旅行事業本部)▽杉村康太(はとバス企画旅行部企画課主任)▽寺澤秀治(写真家)▽並木陽子(クラブツーリズムバス旅行部販売課長)▽深見賢一(日本ウオーキング協会センター長)▽村田博之(オールアバウト「名所・旧跡」ガイド)▽矢野智美(フォートラベル広報担当)▽山本豊(近畿日本ツーリスト国内旅行部)
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